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シングルマザー家庭のための教育費貸付制度をまず検討する
シングルマザーが利用しやすい公的な貸付制度のひとつに市区町村の母子父子寡婦福祉資金があり、
以下の2種類が該当します。
1)月々の修学資金
2)入学に必要なまとまったお金に充当できる就学支度金
私大自宅生の場合の借り入れ限度額は就学支度金が59万円、修学資金が月額5万4千円(不足する場合は8万1千円)となっています。無利子で、返済期間は20年以内と長期です。子ども自身が借入人となってシングルマザーが連帯保証人という形での申し込みが可能です。
正式な申込みは合格後になりますので、合格後すぐに必要になる入学手続き時納付金に間に合わない可能性があります(審査と手続きに1か月以上かかる場合があります)。
就学支度金を利用したい場合は、早めに母子父子自立支援員に相談し、仮の申し込みをしておきましょう。
「 子どもを私立大学に行かせる 」ための貸付制度
その他の公的な貸付制度として国(日本政策金融公庫)の教育ローンと日本学生支援機構の奨学金(以下、奨学金)があります。
国の教育ローンは、保護者の借金であるのに対して、奨学金は子どもの借金です。ですので、将来の子どもの負担になる奨学金の利用については子どもと十分に話し合う必要があります。
国の教育ローンはまとまったお金を350万円(留学資金は450万円)まで借りることができます。申し込みは1年中可能です。金利は、固定金利で2.25%(平成27年4月1日現在)と低利、返済期間も15年以内と、民間の金融機関に比べ有利です。
特に、シングルマザーの場合は、金利、返済期間、保証料(連帯保証人を立てない場合)が優遇されています。
奨学金には無利子の第一種奨学金と有利子(上限金利3%)の第二種奨学金、低所得世帯だけが利用できる有利子の入学時特別増額貸与奨学金があります。第一種と第二種の併用も可能です。
第一種奨学金は家計基準と成績基準が厳しいので狭き門です。私大自宅生の場合、第一種奨学金は月額3万円または5万4千円、第二種奨学金は、月額3・5・8・10・12万円から選択します。
入学時増額特別貸与奨学金は一時金で10・20・30・40・50万円から選択します。在学している高校や進学先で通常春に申し込みます。高校で予約申し込みができますので、予約申し込みをお勧めします。
この場合、第1回目の奨学金が振り込まれるのは、入学後の4~6月のいずれかの月になります。入学前の入学金などには利用できませんので注意が必要です。
ただし、入学時特別増額貸与奨学金の予約をしておけば、労働金庫が入学金などのための「つなぎ融資」の相談に乗ってくれます。
このように、経済的に苦しいシングルマザーも、各種貸付制度を上手に活用すれば、子どもを私立大学に行かせることが可能になるかもしれないのです。
<執筆者プロフィール>
新美昌也(にいみ・まさや)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士。1986年、中央大学法学部法律学科卒業。2004年独立。得意分野はライフプランニング。
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