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お互いがそれぞれの疾患に影響する可能性が高いといわれている「うつ」と「アルコール依存」。
このシリーズでは、実話をもとに「うつ」と「アルコール依存」を全15回に分けてご紹介します。それらが原因で家庭内に起こるケースも多いDVやモラハラ、共依存といった問題について掘り下げていきます。
(前回からの続き)
妻との別居により「断酒」を決意したSさん(仮名・当時32歳)でしたが、そこには知人の誘いを断ることにはじまるさまざまな誘惑との闘いが待っていました。雇用保険も切れ、貯金も底をつきかけていたSさんは、1年近いブランクを経て就職活動をすることを決意したのですが、お酒をやめたことによるイライラや不安、不眠といった症状のため、なかなかスムーズにいきません。
Sさんの精神は、アルコールだけでなく、耳鼻咽喉科の医師に処方された強い向精神薬の影響もあり、完全にバランスを失った状態にありました。このように、「1の症状に対して10の薬を出す」ような過剰投与の問題は、かなり以前から精神医療の現場で指摘されており、そうした投薬の影響や後遺症に苦しむ患者も多いといわれています。
断酒とうつ : 求人サイトを見るだけで強い不安の発作が
Sさんは就職活動をするにあたり、まずパソコンで求人情報サイトを見ることからスタートしました。しかし、そこに並ぶ「正社員」「営業」「残業」などの文字を見ているうちに、Sさんを強い不安の発作が襲いました。心臓の鼓動が早くなり、じっとしていることができなくなったSさんは、部屋を歩きまわったり、自分で自分を叩いたりするのですが、感情はどんどん昂ぶっていき、いまにも泣き出しそうになってしまいました。
軽いパニックを自覚したSさんは、あわてて医師から処方された抗うつ薬など数種類の向精神薬を服用しました。しかし、薬が効いてくると、不安の発作がおさまるのとともに、就職活動をする元気もなくなってしまうのでした。
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