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誰でも陥るリスクがある依存症とは

糖尿病の患者さんがインシュリンに頼る、狭心症の患者さんはニトログリセリンを手放せないといったように、何かに「依存」することは病人に限らず多々あることです。 しかし、何かに依存することで、身体も心も生活も困ったことになると「 依存症 」という病気とされます。変わった性格の人がなるとか、弱い人間が陥るといった偏見もありますが、実は、誰にでもなりうる「ゆがんだ生き方」と言えるのではないでしょうか。

依存症 の6つの要件

ある物事に夢中になり、繰り返し快感を追い求めるうちに自分自身のコントロールが利かなくなり、やがて、その刺激がないと身体も心も不快を感じる状態に陥る、というのが依存症です。国際的な 依存症 の診断基準は、次の6つです。

1.対象への強烈な欲求や、しないではいられない感がある
2.禁断症状(止められない=離脱症状)がある
3.依存対象に接する時間や量をコントロールできない
4.依存対象に接する頻度や量が増えていく
5.依存のために仕事や娯楽などを無視、または制限する
6.心や身体に悪いことを知っていても続ける


「ハマる」の病理、 依存症 のキーワード;中毒・アディクション(嗜癖)・乱用

かつて 依存症 は「~中毒」と呼ばれていました。今では「中毒」は、依存の結果、心身に起こる害のことを指します。 それに対して、欲しくてたまらない気持ちや繰り返される悪い癖は「アディクション(嗜癖)」と呼ばれます。俗にいう「ハマる」は、夢中になる、熱中するという意味で、アディクションと似ています。 また、 依存症 の場合、医師の指示の何倍もの睡眠薬を服用したとか、体調が悪いにも関わらず飲酒しているなど、状況に対して不適切な使用・行為をする「乱用」も特徴です。 結果として、身体と心だけでなく、社会生活、経済生活、人間関係が破たんしていきます。ここが、単に「ハマる」こととの大きな違いです。

3種類の 依存症

依存症 には特定の対象があります。大きく分けるとクスリ系の「物質依存症」とそれ以外で、3つのカテゴリーが認知されています。

1.物質依存:アルコール、タバコ(ニコチン)、薬物、食べ物など
2.プロセス依存:ギャンブル、インターネット、ゲーム、セックス、買い物、仕事など
3.人間関係依存:恋愛、カルト宗教、DV・虐待など


依存症 のメカニズム;神経伝達物質「ドーパミン」と報酬系

楽しい、面白い、うれしい、幸せなど「快楽」は、頑張っている自分へのご褒美として、お金や名誉とともに、私たちの活動を動機づける要因です。脳科学の発達で、「快楽」にはドーパミンという神経伝達物質が関与し、「報酬系」と呼ばれる神経回路を介して、頑張って何かを達成することへの快楽を感じさせていることがわかってきました。 ドーパミンが大量に分泌されると、興奮状態になる、ある種の行動がやめられなくなる、幻覚・妄想を抱くなどが起こります。逆に不足すると、無気力になる、手足が震えるなどが起こります。 依存症 の場合、物質依存にもそれ以外にも共通して、依存対象に接している時にドーパミンが分泌されていることがわかってきました。

遺伝か環境か?

物質依存、特にアルコールについては遺伝性の強いことが実証されています。しかし、依存症全体については、育った環境や培われた価値観、日常生活や人間関係といった環境要因も、その発症に大きく関わっています。

●執筆者プロフィール:山本恵一(やまもと・よしかず) メンタルヘルスライター。立教大学大学院博士課程修了、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ 副社長

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