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アルコール依存とうつ :依存症患者の性格的な特徴とは
また、クリニックの医師によると、アルコール依存症の人に多くみられる性格として「否認」と「自己否定」があげられるとのことでした。
ここでいう「否認」とは、「自分は依存症ではない」「いつでもやめられる」などと、自分の依存的な性癖を自分で認められない状態であり、これはアルコールに限らず、薬物やギャンブルの依存症患者にも多くみられる傾向だそうです。
また、アルコール依存の傾向がある人は、心のどこかで「お酒をやめなければ」という気持ちや飲酒に対する罪悪感を持っていることがほとんどであり、そうした感情が「また飲んでしまった」「自分はなんてダメなんだ」というような「自己否定」に向かうケースも多いとのことでした。さらに、罪悪感や自己否定からくる「自分への怒り」が、他者に対する攻撃やイライラとなってあらわれる場合もあるといいます。
Sさんは、「飲酒量は自分でコントロールできる」といいながら毎晩の深酒がやめられず会社を退職し、精神状態の不安定さによる妻へのDV行為で家庭が壊れる危機を経験したこの2年間を振り返りました。そして、アルコール依存が「心の病」であり、上記のように人の性格まで変えてしまうこともあるという事実を痛感したのでした。
(次回に続く)
※本文は実話をもとに脚色を交えて構成しています。実在の人物・団体とはいっさい関係がありません。
<執筆者プロフィール>
井澤佑治(いざわ・ゆうじ)コラムニスト
舞踏家/ダンサーとしての国内外での活動を経て、健康法・身体技法の研究、高齢者への体操指導、さまざまな障がいや精神疾患を持つ人を対象としたセラピー、発達障害児の療育、LGBTの支援などに携わる。
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