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デメリットは情報漏洩と財産を把握されること
一方で「 マイナンバー 」にはデメリットも考えられています。まず、「 マイナンバー 」によって一元管理された情報が漏洩する危険性があり、かつその管理責任は通知された本人にあることです。
当然ですが、他人の「 マイナンバー 」を知ることで、その人のさまざまな個人情報を入手することが可能になり、不正に使用できる可能性も高まります。政府はそうした「 マイナンバー 」の不正入手や、「 マイナンバー 」を経由した個人情報ファイルの不当提供を処罰の対象としていますが、ご存知の通りインターネットなどで個人情報が簡単に漏洩してしまうのが、今の日本の社会。さらに「 マイナンバー 」は一度発行されたら原則として変わらないものなので、その管理を中長期的に個人が行わなければならないことは、生活の中での負担が増すとも考えられます。
余談ですが、「 マイナンバー 」導入にあわせ、企業には13桁の「法人番号」が割り振られますが、同時に従業員たちの「 マイナンバー 」を取り扱うケースも出てきます。これにより源泉徴収などの効率化が進むとされていますが、「 マイナンバー 」を伝えなくてはならない個人にとっても、管理しなければならない企業にとっても、情報漏洩のリスクを抱えることになり、同時にそれに対応した環境整備も求められることになります。
もうひとつのデメリットは、あらゆる個人情報を政府が管理できるシステムになってしまう可能性があることです。政府は現時点で、年金などの「社会保障分野」、「税分野」、「災害対策分野」の3つに限定して利用するとしていますが、将来的には個人の銀行口座=個人資産まで「 マイナンバー 」によって管理できるようにすることも考えられていると言われています。それが本当に現実になるかはまだ定かではありませんが、少なくとも「 マイナンバー 」のリスクの可能性のひとつとして、頭に入れておいた方がいいでしょう。
身分証明書などに利用できる「個人番号カード」が発行
「 マイナンバー 」は今年10月から随時住民票のある個人に「通知カード」が配送されます。そのカードを翌年1月から市町村の窓口で「個人番号カード」と引き換えることができ、これまでの「住民基本台帳カード」などと同様に、身分証明書などとして使用することができるようになります。また、「e-Tax」などで使用する電子申請や図書館利用、印鑑登録証などにも使用できるようになる予定です。
さらに、2017年1月からは「マイナポータル」という情報サービスが利用できるようになり、自分の「 マイナンバー 」により個人情報がいつ、どこで、誰が利用したかを確認できるようになります。また、行政機関が持っている自分の個人情報も確認することができます。
ちなみに「個人番号カード」が発行されるのにともない、それまで身分証明書などとして使用していた「住民基本台帳カード」は使用できなくなります。また、「個人番号カード」には期限が設けられていて、20歳以上の人は10年、20歳未満の人は5年に設定されています。
これから運用時期が近づいてくると、「 マイナンバー 」のメリットやデメリットを考える機会も増え、なかにはデメリットを強く感じて不安を抱える人もいると思います。しかし大切なのは、そのメリットとデメリットをきちんと把握し、その上で利用することです。詳しい情報は「政府公報オンライン」で解説されているので、制度がスタートする前に、そうした情報をきちんと確認しておくことをおススメします。
種藤 潤(たねふじ・じゅん)
神奈川県生まれ。ライター・エディター・ウェブプランナー。食、酒、住まい、教育、ビジネス、介護、旅と、生活に身近なあらゆるテーマを取材・執筆。近年はオーガニックなライフスタイルにも着目。特定なジャンルに限定せず、日常を包括的な視点で捉えた「生活がちょっと楽しくなるタネ」の提供を心がけています。
参考:政府公報オンライン
http://www.gov-online.go.jp/tokusyu/mynumber/index.html
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