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肝炎の分類 :慢性肝疾患に発展するウイルス性肝炎は?
肝炎ウイルスへの感染によって引き起こされるウイルス性肝炎は病型の違いによって症状も異なります。なかでも怖いのは、慢性肝炎、肝硬変を経て肝がんに発展する可能性です。しかし、すべてのウイルス性肝炎が慢性肝疾患(慢性肝炎、肝硬変、肝がん)を発症するわけではありません。そのリスクがあるのはB型・C型肝炎ウイルスです。
この2つについては、それぞれ止血剤として使用された血液製剤(C型)、集団予防接種(B型)による感染被害が訴訟問題となったことでも知られています。また、肝がんの予防には、検査によってB型・C型肝炎ウイルスへの感染の有無を確かめ、必要な治療を早期に行うことが重要だとされています。
豚の生レバー禁止の理由ともなったE型肝炎ウイルスは、よく知られたB型・C型肝炎ウイルスとは性質が異なります。まず、E型肝炎ウイルスは肝がんに発展するものではありません。そして、血液ではなく、水や食べ物を通じて感染し、人獣共通感染症として認められた唯一の肝炎ウイルスとなっています。
肝炎の分類 :治療ではなく予防が中心
E型肝炎ウイルスの潜伏期間は平均40日程度とされ、急性肝炎として発症すると肝臓に炎症が起き、肝細胞の破壊、肝機能の低下をきたします。多くは安静にしていれば治癒しますが、稀に劇症化し、死亡するケースもあります。典型的な症状には黄疸(おうだん)、嘔吐、発熱、悪心、食欲不振、腹痛と腹部の圧痛などがあります。急性肝炎の経過を変える治療はないため、飲食物の過熱による殺菌、手洗といった予防につとめることが大切です。
<参考資料>
E型肝炎ウイルスの感染事例・E型肝炎Q&A(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/08/h0819-2a.html
執筆:斉藤雅幸(Mocosuku編集部)
監修:岡本良平医師(東京医科歯科大学名誉教授)
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