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死亡診断書の書き方 : 1990年に改正された死亡分類
日本の人口動態統計はWHOが制定した基本的な分類に基づき、約10年毎に修正されています。1990年には、第43回世界保健機関総会で採択された「疾病及び関連保健問題の国際統計分類第10回修正」に基づく重要な改正が行われています。
このとき、死亡診断書の記載方法が改正され、次のような注意書が加わりました。
「疾患の終末期の状態としての心不全、呼吸不全等は書かないでください」
その理由についてはもうお分かりでしょう。終末期状態としての心不全、呼吸不全を死亡原因としてしまうと、死亡統計が実態を反映したものではなくなってしまうからです。この改正の後、統計上、死因としての心不全と呼吸不全が減少します。もちろん、実際に疾患が減ったわけではなく、上述の心不全と呼吸不全が死亡診断書に書かれなくなったことで集計される数字が変わったのです。
死因を心不全、呼吸不全とすることは仮にそれが「疾患の終末期の状態としての」ものであったとしても、事実である限り報道上は問題ないでしょう。一方、医療現場においては、正確な死亡統計を得るため、死亡診断書の書き方にはルールが設けられています。
執筆:斉藤雅幸(Mocosuku編集部)
監修:岡本良平医師(東京医科歯科大学名誉教授)
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