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大動脈解離の症状 :解離が生じる場所によって治療が異なる
心臓から脳へと血流を送る上行大動脈(じょうこうだいどうみゃく)に解離が生じたものをA型解離、上行大動脈に及んでいないものをB型解離といいます。基本的にA型は手術、B型は保存療法となります。
A型の場合、にじみ出た血液が心臓を圧迫する「心タンポナーデ」と呼ばれる状態や、大動脈弁の構造を破壊して急性心不全に至ることがあります。手術は緊急を要し、悪くなった大動脈を人工血管に置き換えます。手術を行わなかった場合の死亡率は24時間以内で20%、48時間で30%、1週間で40%、1か月で50%程度とされています。
B型の場合は血圧を下げる降圧安静療法を行います。A型ほど深刻ではありませんが、決して油断はできません。手術が第一選択とならない理由は、B型に対して手術を行う場合は、背骨のすぐ近くを通る大動脈にアプローチすることになり、手術を行ったことによる体への負担が大きいことも関係しているからです。
迅速な対応が命を救うカギ
大動脈解離の症状としては、前兆のない胸や背中の痛みが生じ、発生時に最も痛みが強いのが一般的です。生死にかかわる疾患のため、発症してから自分でできることは限られています。速やかに救急に連絡し、患者の状態を伝えましょう。救命は時間との闘いになります。緊急手術が可能な、心臓血管外科を備えた医療機関にできるだけ早くたどり着くことが重要です。
なお、大動脈解離の予防に関しては、動脈硬化や高血圧を進行させないことが回避につながります。肥満、喫煙、ストレス、運動不足、大量のアルコール・塩分の摂取はリスクになるため、普段の生活に注意が必要です。
執筆:斉藤雅幸(Mocosuku編集部)
監修:坂本 忍(医学博士)
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