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急性大動脈疾患の治療 :東京都の「急性大動脈スーパーネットワーク」
急性大動脈疾患は死亡率が高く、時間がたつにつれてリスクが大きくなる「時間依存性」の性格を持っています。迅速に対応できる医療機関が限られていることから、病院選択が救命に大きく影響すると考えられます。
こうした問題に対処すべく、東京都では、循環器内科と心臓血管外科の連携による緊急医療体制を持つ医療機関のネットワークづくりを推進しています。2010年11月にスタートした「急性大動脈スーパーネットワーク」は、12施設の「緊急大動脈重点病院」と26施設の「緊急大動脈支援病院」から構成されています。このネットワークを活用することで、救急隊は対応可能な医療機関を迅速に選択することが可能になりました。効率的な患者搬送と適切な外科治療等による死亡例の減少に貢献するものといえます。
緊急大動脈重点病院と緊急大動脈支援病院
緊急大動脈重点病院と緊急大動脈支援病院はいずれも多数の実績を持ち、救急隊に対して優先搬送が推奨されています。緊急大動脈重点病院は急性大動脈疾患の入院・手術を毎日24時間受入可能な病院で、緊急大動脈支援病院は急性大動脈疾患の入院・手術を優先的に受入可能な病院です。
急性大動脈スーパーネットワークが急性大動脈疾患の救急対応をサポートするものであるのに対し、東京都CCUネットワークは急性心筋梗塞の救急対応をサポートするものとして1978年に組織されています。心臓救急に携わる主要医療機関は71施設(平成25年4月1日)となっています。それに比べると、38施設の急性大動脈スーパーネットワークはまだまだ少なく、その背景には心臓血管外科が必須であるなど、求められる条件の厳しさがあります。
急性大動脈疾患のなかでも大動脈瘤は時間をかけて進行し、破裂に至ります。予防のためには定期的な健康診断が有効です。急性大動脈解離につては予防が難しいとされていますが、動脈硬化や高血圧を予防することでリスクを小さくできます。また、自分の家族が突然この病気に襲われたとき、どの病院なら対応できるのかをあらかじめ調べておくとよいでしょう。
<参考>
東京都CCU連絡協議会
http://www.ccunet-tokyo.jp/index.html
執筆:斉藤雅幸(Mocosuku編集部)
監修:坂本 忍(医学博士)
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