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恋人を欲しがらない若者 :確実性の高いリターンを求める女性
女性の場合も男性と近い理由で恋愛が億劫になるケースもありますが、女性はそれだけでないでしょう。
そもそも女性は恋人や配偶者の選択に男性よりも慎重になりがちです。
なぜなら、女性のほうが恋愛や結婚による生活の変化や負担が大きいのです。
たとえば、男性本位の性産業や性的情報発信が盛んな中で、女性にとって苦痛で屈辱的な性的な営みを女性が喜ぶという誤った認識を持った男性も少なくありません。
子どもを産めばもっと過酷な負担が待っています。
また、女性は本能的に男性の生活保証能力は気になるものです。
現代の経済事情の中では羽振りの良い男性も収入や将来性が堅実な男性も希少です。
密かに借金を抱えている、浪費癖がある、といったリスクのある男性も少なくありません。
よっぽどスペックが高い男性でない限り、お付き合いはリスクの高い人生の投資になるのです。
であれば、費用対効果という意味では勉強には自分自身の将来性、趣味には失敗のない満足感や充実感というリターンが伴います。
つまり、恋愛よりも確実性の高い人生の投資なのです。
恋人を欲しがらない若者 :明るい未来を描けない若者達
最後に筆者が感じる最大の原因は、若者の多くが「未来はもっと良くなる」と信じていないことです。
20歳前後の若者を対象にした筆者の独自調査では9割近くの若者が「未来は現状維持ならラッキーだが、もっと悪くなるかも」と信じています。
そのため、「長生きしたくない」とも思っているようです。若者に夢がないのです。
若者から夢を奪っているのは間違いなくその上の世代が作った社会構造です。
「今の若者は…」と嘆くよりも、社会構造の何が問題かを探ることが重要と言えるでしょう。
<執筆者プロフィール>
杉山崇(すぎやま・たかし)
神奈川大学人間科学部/大学院人間科学研究科教授。教育支援センター副所長、心理相談センター所長、臨床心理士、公益社団法人日本心理学会代議員、キャリアコンサルティング技能士。『入門!産業社会心理学-仕事も人間関係もうまくいく秘訣』(北樹出版)発売中。
公式サイトはこちら⇒ http://www.sugys-lab.com/
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