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幼児教育無償化 !?
施設の垣根に阻まれている現状
平成18年にスタートした「認定子ども園」は、平成27年4月現在で2836施設と、昨年に比べると倍増しているようです。しかし幼稚園1万2905施設(文科省:平成26年学校基本調査より)、保育園2万4076施設(厚労省:平成25年社会福祉施設等調査の概況より)と比べると、認定子ども園は圧倒的少数に止まります。
役所の言い分では、幼稚園は幼児教育を担い、保育園は幼児を預かる施設、認定子ども園は幼稚園と保育園の両方の機能を持つ施設と位置づけられています。幼児教育の質を向上させるのであれば、施設の垣根(規制)を大胆に撤廃して、すべての子どもに同じような教育の機会を与え、保護者にとって利用しやすいものにすることが求められるでしょう。何より、保育園の待機児童問題もままならない現状では、幼児教育における質の向上というゴールは遠いように思えます。
幼児教育無償化 !?
幼児教育無償化は世界的には当然の流れ?
一方、幼児教育の無償化については、財源の問題もあり、所得制限導入の是非や対象となる施設の範囲の問題(無認可保育園はどうなる?)、幼稚園教諭および保育士の資格要件をどうするのか?など、検討課題は山積しています。一部の保護者には、「無償化はありがたいけど、そもそも待機児童問題の解消のほうが先!」という意見もあるようです。
OECD加盟国の中で、日本が対GDP費で幼児期教育(保育)の公費負担が最低である現状を見ると、公的資金を使って子育て支援と称する無償化を推進するのには、一定の説得力があるとはいえるでしょう。とは言え、財源が乏しいなか「公的資金が多く投入されている」とされる年金や医療費補助を多少なりとも削ってでも子育て支援を行う意気込みがあるのかどうか、今後の行方には注目したいところです。
<参考資料>
文科省:幼稚園指導要領「現行学習指導要領・生きる力」
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/you/sou.htm
内閣府 子ども・子育て本部 認定子ども園の数について
http://www.youho.go.jp/press150508.html
文科省:我が国の教育行財政について
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouikusaisei/bunka/dai3/dai1/siryou4.pdf
<執筆者プロフィール>
石村衛(いしむら・まもる)
FP事務所:ライフパートナーオフィス代表ファイナンシャルプランニング1級技能士(CFP)
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