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緊急手術を必要とするA型解離
大動脈解離はA型かB型かによって治療法が異なります。心臓から脳へと血流を送る上行大動脈(じょうこうだいどうみゃく)に解離が生じたものをA型解離、上行大動脈に及んでいないものをB型解離といいます。基本的にA型は手術、B型は保存療法となります。一般的に、より危険性が高いとされるA型においては、にじみ出た血液が心臓を圧迫する「心タンポナーデ」と呼ばれる状態や、大動脈弁の構造を破壊して急性心不全に至ることがあります。手術を行わなかった場合の死亡率は24時間以内で20%、48時間で30%、1週間で40%、1か月で50%程度とされており、悪くなった大動脈を人工血管に置き換える緊急手術が求められます。
死亡率の高い大動脈解離 :救命は時間との闘い
大動脈解離は死亡率が高く、時間がたつにつれてリスクが大きくなる「時間依存性」の性格を持っています。また、循環器内科と心臓血管外科の連携による緊急医療体制を持つ医療機関でなければ対応できません。どれだけ迅速に、対応可能な医療機関に搬送するかが救命の鍵を握ります。
東京都の例を見ると、2010年11月に「急性大動脈スーパーネットワーク」をスタートしています。12施設の「緊急大動脈重点病院」と26施設の「緊急大動脈支援病院」から構成される同ネットワークは、救急隊による効率的な患者搬送と適切な外科治療等で救命に貢献しています。
大動脈解離への対応は緊急を要し、症状が現れてからできることは限られています。速やかに救急に連絡し、患者の状態を伝えましょう。自分の家族が突然この病気に襲われたとき、どの病院なら対応できるのかをあらかじめ調べておくとよいでしょう。また、動脈硬化や高血圧を進行させないことが大動脈解離の回避につながります。肥満、喫煙、ストレス、運動不足、大量のアルコール・塩分の摂取はリスクになります。普段の生活で注意するように心がけましょう。
<参考>
東京都CCU連絡協議会
http://www.ccunet-tokyo.jp/index.html
執筆:斉藤雅幸(Mocosuku編集部)
監修:坂本 忍(医学博士)
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