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水による食中毒 :水を通じて感染する菌は?
夏に飲み水を介しての感染が懸念される菌には、主にカンピロバクターと腸管出血性大腸菌があります。日本で発生する食中毒の中で、発生件数が最も多いのがカンピロバクター食中毒です。カンピロバクターはニワトリ、ウシ等の家きんや家畜をはじめ、ペット、野鳥、野生動物などあらゆる動物が保菌しています。鶏の刺身、鶏わさ、鶏レバー、牛生レバーといった食品のほか、不十分な殺菌による井戸水、湧水及び簡易水道水も感染源となります。
症状は他の食中毒と同様に下痢、腹痛、発熱、悪心、嘔気、嘔吐、頭痛、悪寒、倦怠感などで、多くの場合、1週間程度で治癒します。死亡例はまれですが、若年者・高齢者など抵抗力の弱い人は重症化の可能性があります。カンピロバクターは加熱調理によって死滅させることができます。
家畜や人の腸の中にある大腸菌はほとんどのものが無害ですが、なかには下痢などの消化器症状や合併症を起こすものがあります。よく知られているものに「腸管出血性大腸菌O157」があり、そのほか「O26」や「O111」などもあります。牛肉、ハンバーグ、シカ肉といった肉類や、キャベツ、ホウレンソウ、白菜漬けといった野菜のほか、井戸水からの感染例が報告されています。腸管出血性大腸菌は加熱調理や消毒薬によって死滅させることができます。通常の食中毒対策が重要です。
食中毒への関心が高まる夏は、食品の管理に注意をはらっている人も多いでしょう。ただし、水が危険という意識を持っていない場合があります。私たちが普段あまり水で苦労させられることがなく、「水は安全なもの」と信じられるのは、何気なく使っている水道水のおかげです。自然の中にある水はそうはいきません。澄んでいる、においがしない、からといって汚染されていないとは限りません。野外の水をそのまま口に入れるのはやめた方がよいでしょう。
<参考>
東根の沢水で47人が食中毒 流しそうめんに使う(山形新聞)
http://yamagata-np.jp/news/201507/25/kj_2015072500531.php
細菌による食中毒(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/saikin.html
水質について(別府市水道局)
http://www.city.beppu.oita.jp/suido/03suisitu/index03.html
執筆:斉藤雅幸(Mocosuku編集部)
監修:坂本 忍(医学博士)
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