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電気・磁気のうつ病治療 : 映画『カッコーの巣の上で』のイメージ
映画『カッコーの巣の上で』では、主人公が病院内の規則に従わないことから、懲罰的に「電パチ」を受けるシーンがあります。非常にショッキングなシーンであり、古い精神医療の「拘束」のイメージを象徴するかのようです。
現在では、インフォームドコンセント(詳しい説明による同意)を得たうえで、最終手段として用いられ、安易に使われることはありません。治療の際も、全身麻酔を使った上で通電するため、患者が苦痛を感じることはありません。
一方で、記憶障害や性格の変化といった副作用も報告されており、専門医の中には医療倫理的な観点から廃止を訴える人もいます。総じて「電パチ」というネガティブなイメージは払拭されていないと言えるでしょう。
電気・磁気のうつ病治療 : 磁気によって脳を刺激するTMS
一方、うつ病に対する新しい治療法として最近注目されているものに、「経頭蓋磁気刺激法」(TMS:Transcranial Magnetic Stimulation)があります。これは電気ではなく磁気を用いて脳の特定の部位に働きかけ、脳血流を増加させることによって、低下した機能を元に戻すものです。
磁気を用いた医療器機としては、体の内部を断層撮影するMRI(核磁気共鳴画像法)があります。TMSもMRIの研究から派生したものだと言われています。MRI同様、専用の器機を使って頭部に磁気を当てるだけなので、治療時に痛みはなく、麻酔も不要です。
TMSは米国で開発された治療法で、米国では2008年にはFDA(食品医薬品局、日本の厚生労働省に相当)から認可を受けています。日本では、2012年にNHKスペシャルで放送されたのをきっかけに注目され始めましたが、厚生労働省にはまだ認可されていません。
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