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騒音トラブル :子どもの声や走り回る足音は?
冒頭で述べたとおり、東京都では、子どもの健やかな成長・育成上、子供の声等を過度に抑制することが望ましくないとの観点に基づき、今年の4月1日から、一定の要件を満たす子どもの声等を、環境確保条例の規制対象から除外しています。
これは、保育所や幼稚園、児童館、公園等での場所に限定されたものですので、今回の条例の改正によって、隣の居室から聞こえる子どもの大きな声や、上の居室から響いてくる子どもの足音は全て我慢しなければならなくなるというわけではありませんが、今後、受忍限度か否かを判断するに際して、迷惑を被っていると主張する騒音が子どもの発する音である場合、受忍限度内であると判断され易くなる可能性があります。
※「子ども」の定義についても、小学校就学前の子供に限定されています。
騒音トラブル :被害者は加害者に対してどのように対応すべきか
騒音トラブルが訴訟に発展するケースは数多く見受けられますが、訴訟となれば被害者の負担も相当なものになることに加え、騒音について不法行為が成立すると判断された場合でも、その場合に認められる賠償額は低額なものとなるケースが多く、経済的にも合理的な手段とはいえません。そのため、可能な限り話し合いにより解決すべき問題といえるでしょう。
ベランダでの喫煙行為に対しても同様ですが、日頃ご近所付き合い等もない間柄の隣人に対して直接苦情を申入れることは、対立関係を先鋭化させ、かえって騒音被害が大きくなる可能性もあるため、賃貸人や管理会社を通じて対処することが望ましいでしょう。
なお、子どもの声などを巡る騒音トラブルについては、苦情の申入れに対して、開き直るような態度を取る親の対応が原因で問題が深刻化しているケースも見受けられます。子どもの健やかな健康・育成上、子供の声等を過度に抑制することが望ましくないということ自体は理解できるものですし、子どもの声などに頭を悩まされている方々の大半も、その点は理解しているものと思われますが、「法律上許容されること」と、「法律上の権利」は別個のものですので、苦情の申入れを受けた方は、他者への配慮や気遣いの視点を忘れずに対応すべきでしょう。
執筆:石井林太郎(弁護士)
<表・出典>
東京都環境局
http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/air/noise_vibration/daily_life_noises.html
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