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乳がんの種類とステージ …乳がんのタイプ
乳房は主に脂肪と乳腺組織で構成されています。乳がんは乳腺に発生する悪性腫瘍です。ゆっくり広範囲に広がる「乳頭腺管がん」、進行が速い「硬がん」、乳房が赤く腫れる「炎症性乳がん」などに分けられます。一般には、「乳頭腺管がん」は、比較的完治しやすく、「硬がん」や「炎症性乳がん」は、治療が難しいと言われています。
乳がんの発生、進行には、しばしば女性ホルモンが関わっています。女性ホルモンを取り込んで増殖するタイプの乳がんを「ホルモン感受性乳がん」といい、多くの乳がんがこれに該当します。更年期障害の治療でホルモン補充療法を受けた人や閉経が遅かった人は、ホルモン感受性乳がんのリスクが高いと言われています。また、血縁者に乳がんや卵巣がんの多い場合は、遺伝性乳がんの可能性もあります。
乳がんの種類とステージ …乳がんのステージ
乳がんの進行度合は、「ステージ」という指標で現されます。しこりの大きさ、リンパ節への転移の有無、他臓器への転移の有無を総合的に判断してがんの広がりや進行を量ります。ステージは0期〜IV期に分けられます。
【0期】
乳腺の中にがんがとどまっている状態です。早期の乳がんで、これを「非浸潤性乳管がん」と言います。
【I期】
しこりの大きさが直径2cm(1円玉の大きさ)以下のもので、腋の下のリンパ節には転移しておらず、乳房の外に広がっていない段階です。
【IIa期】
しこりの大きさは直径2cm以下ですが腋の下のリンパ節に転移があるもの、またはしこりの大きさが2c〜5cmで腋の下のリンパ節に転移がない場合を指します。
【IIb期】
しこりの大きさが直径2~5cmで腋の下のリンパ節に転移があるものです。
【IIIa期】
しこりの大きさが直径2cm以下でも腋の下のリンパ節に転移があり、リンパ節同士が癒合していたり、周辺の組織に固着している状態。または腋の下のリンパ節への転移はないが胸骨の内側のリンパ節が腫れている場合。あるいは、しこりの大きさが5cm以上で脇の下、または胸骨の内側のリンパ節に転移が見られるものです。
【IIIb期】
しこりの大きさ、腋の下のリンパ節の有無に関わらず、しこりが胸壁の内側にがっちりと固着していたり、皮膚にしこりが出たり、皮膚が崩れて潰瘍になったり、皮膚がミカンの皮のようになりむくんでいるもの。炎症性乳がんもこの病期に含まれます。
【IIIc期】
しこりの大きさに関わらず、腋の下のリンパ節と胸骨の内側のリンパ節の両方に転移のある場合。または胸骨の上下にあるリンパ節に転移がある場合を指します。
【IV期】
乳房とは違う臓器に転移している場合で、骨、肺、肝臓、脳などがあります。
北斗さんのがんがどのステージであるかは明言されていません。本人のブログによれば、しこりの直径が約2cmであること、またリンパ節への転移の可能性があることなどから、ステージII〜IIIであることが推測されます。
引き続き後編では、全摘手術を含む乳がんの各種治療法、および乳がんを早期発見する方法について見ていきます。
執筆:南部 洋子(看護師)
監修:坂本 忍(医学博士、公認スポーツドクター、日本オリンピック委員会強化スタッフ)
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