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大型台風の注意点 (2)
爽やかな秋晴れも、太平洋は大荒れ
大型の台風23号は、強風域の直径が1500kmもあり(6日・12時現在)、それは強風円内に本州がほぼ入るくらい広大なものです。このため、台風の中心が遠い位置にあっても、伊豆諸島や関東の太平洋側沿岸は次第に「うねり」を伴った「大時化(おおしけ)」になります。
現在、日本付近は秋特有の帯状を呈した移動性高気圧に覆われ、穏やかに晴れわたっています。しかし、東日本・北日本の太平洋沿岸は大荒れになることが予想され、海釣りなどは大変危険です。また、震災による地盤沈下の影響が残る東北地方の太平洋沿岸では「満潮時の高潮」にも注意が必要です。
大型台風の注意点 (3)
「中心付近ほど風が強い」とは限らない
台風23号は、「発生時から大型」ながら、いまだに中心気圧が高く「求心力が弱い状態」です(6日12時現在:970ヘクトパスカル)。それゆえ台風の目も判然としません。気象衛星画像では、台風の中心とされる場所から遠いところにも「発達した積乱雲の塊(雲クラスター)」が散見されます。
このような「斑(まだら)模様の大型台風」では、強風の分布も斑になっています。例えば、台風の中心からかなり離れた地域で「台風の中心付近より強い風」が吹く場合もあるのです。同様の現象は、台風が衰弱し温帯低気圧へと変わる局面においても起こりやすいものです。
台風情報で示される予想進路図には「台風の中心」が70%の確率で入る予報円が描かれます。台風の防災対策には、その中心が「予報円内の最も陸地寄りの進路」をとった場合を仮定し、周囲の暴風域(風速25m/s以上)や更に外側に広がる強風域をイメージしなければなりません。
台風23号は発達中で、今後は「超大型で強い台風」になる可能性もあります。東日本・北日本の太平洋沿岸にお住まいの読者の皆さんは、上述の注意点を念頭に置きつつ、これから8日にかけて地元気象台から発表される気象情報・注意報・警報などに留意し、適切な危険回避行動をとってください。
<執筆>
●佐藤 敦(さとう・あつし)
防災士、気象予報士。2005年12月25日に発生した「JR羽越線特急いなほ脱線転覆事故」を機にブログ『気象・歳時・防災コラム』を開設し、各種自然災害の分析や風評発生の仕組みなどを解説している。(一社)日本気象予報士会会員。http://blogs.yahoo.co.jp/otenki_bosai
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