このイライラは何!? 実践したい 40代の更年期対策 とは

Mocosuku(もこすく)
  • このイライラは何!? 実践したい 40代の更年期対策 とは

  • Mocosuku(もこすく)
医療資格者や専門家だけの記事を配信

このイライラは何!? 実践したい 40代の更年期対策 とは

公開日時

 40代の更年期対策 :「更年期症状」と「更年期障害」の違いについて

 

なぜ女性は閉経前後に更年期の症状が出るでしょうか。それは卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン)と密接な関わりがあります。

 

加齢とともに卵巣の働きが衰え、エストロゲンの作られる量が減ってくると、これを回復させようと、脳は「エストロゲンを出しなさい」と卵巣に命令(卵巣を刺激するホルモン)を出します。
 
しかし、卵巣にいくら命令を出しても、卵巣からの応答(エストロゲン分泌)はなく、脳は盛んに命令を出し続けます。こうした脳と卵巣との「命令・応答バランスの崩れ」は非常に不安定な状態で、卵巣以外の機能にも影響が出てきてしまうのです。
 
その結果として、自律神経のアンバランスなどが生じ、さまざまな症状が引きこされます。閉経をはさんだ前後10年ほどの間に、見られる以下のような症状を、「更年期症状」と呼びます。

 


自律神経の失調によるもの

ホットフラッシュ(ほてり、のぼせ、発汗)、冷え、動悸・息切れ、めまい、耳鳴りなど

 
 


精神的な症状

憂うつ感、不安感、不眠、イライラ、意欲がわかないなど

 
 


その他の症状

関節痛や筋肉痛、食欲不振・悪心・嘔吐、下痢、腹痛、性交痛、皮膚のかゆみなど
 
これらの症状の出方は個人差が大きく、症状が強く出る人もいれば、ほとんど出ない人もいます。そして、症状がひどく、日常生活に支障をきたすほどの場合を「更年期障害」と言います。
 
 

 40代の更年期対策 :40代になったら知っておきたいHRT

 

HRTとは“ホルモン補充療法(Hormone Replacement Therapy)”の略称で、更年期に減りはじめる女性ホルモン(エストロゲン)を薬で補い、更年期のさまざまな症状を和らげるという治療法です。薬には飲み薬や貼り薬、ジェル剤があります。

 

医療者向けサービスを運営する株式会社 QLife(キューライフ)が2014年に行った、40~50代のHRTを現在受けている、 受けたことがあるという女性500名を対象にしたアンケート調査では、7割以上の患者がHRTを始めて、症状が「改善」「やや改善」したという報告があります。

 

しかし、薬を使うことで気になるのが副作用の問題ですよね。HRTを始めた頃に感じるのが、不正出血や乳房・下腹部のハリ感、吐き気、むくみなどですが、ほとんどのものは続けているうちに症状がなくなったり、薬を変えることで治まります。
 
HRTの治療は、婦人科や更年期外来などが窓口になります。
 
仕事や家事、子育てと、忙しいなかでの「不調」は、放っておくとさらなるストレスとなって、精神を害します。副作用がまったくないわけではありませんが、場合によっては漢方薬や抗うつ剤・安定剤などで治療を進める場合もあります。医師とよく相談し、自分に合った治療の仕方を見つけましょう。

 

また、こうした変化への気づきが、40代では女性特有のほかの疾患(乳がんや子宮系の病気)の発見につながることがあります。
 
「おかしいな」と思うところがある場合は、「定期検診を受けているから大丈夫」と判断せず、診察を受けることが大切です。

 

【実施概要】
(1) 調査対象:40~50代の女性でホルモン補充療法(HRT)経験者
(2) 有効回収数: 500人
(3) 調査方法:インターネット調査
(4) 調査時期:2014/10/16~2014/10/21
http://www.qlife.co.jp/news/150119qlife_research.pdf

 
 
太田郁子先生・倉敷平成病院婦人科医長
 
<監修者プロフィール>
太田 郁子(おおた・いくこ)
倉敷平成病院婦人科医長、医学博士、日本子宮内膜症啓発会議実行委員
 
 
<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー

 

スポンサーリンク

先週よく読まれた記事

ヨガはどうしてカラダに良いの? 医学的に掘り下げてみよう

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 昨今のヨガブームにより、趣味としてヨガを楽しまれている方も多いのではないでしょうか。 「なんとなく健康に良さそう」というイメージの強いヨ...

不眠症ならぬ「過眠症」をご存じですか? 症状や原因とは

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ あなたは自分の睡眠に満足していますか? 睡眠の悩みと聞くと、多くの方が思い浮かべるのは「不眠症」でしょう。 しかし、「過眠症」で悩んでい...

朝起きたら首が… やっかいな「寝違え」の原因と治し方

執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師) 医療監修:株式会社とらうべ 「朝起きたら首が痛い・・・寝違えたかも!?」 このような経験、どなたも一度はあるでしょう。 そもそも寝違えはどうして...

冷え対策に、「温活」をはじめよう!

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 婚活、妊活、終活など、最近は「〇活」というコトバがよく使われています。 「温活」もそのうちのひとつで、今や書籍やインターネットなどあちこ...

「失神」と「睡眠」の違い どこに注目すればいい?

執筆:南部 洋子(看護師) 監修:坂本 忍(医師、公認スポーツドクター、日本オリンピック委員会強化スタッフ) 「失神」と「睡眠」の違い、見た目ではなにがどう違うのか、わかりませんよね。 例えば、飲み会...

つった! 寝ていたら足がつるのはどうして?対処法は?

執筆:山村 真子(看護師・西東京糖尿病療養指導士) 夜寝ている時、突然足がつってしまい、激痛で目が覚めた! そんな経験をされた方、いらっしゃいませんか? 突然起こる足のつり。どうしてこのようなことが起...

働く人に増えている「適応障害」 原因となる3つのパターン

執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター) 医療監修:株式会社とらうべ 環境にうまくなじめないことから、落ち込んだり、意欲や自信を喪失したり、イライラして怒りっぽくなったり、体調面が悪くなったり、場合...

【生理】新着記事

「手のこわばり」は更年期の症状? 正しい知識で安心な備えを

「手のこわばり」は更年期の症状? 正しい知識で安心な備えを

執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師) 医療監修:株式会社とらうべ 「指や手がこわばる」という訴えが更年期世代の女性に多いということ、ご存じですか? これは意外と知られていない、更年...

2018/04/02 18:30掲載

生理前・生理中の不調を緩和する、食事面でのポイント

生理前・生理中の不調を緩和する、食事面でのポイント

執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師) 医療監修:株式会社とらうべ 生理前は調子が悪くなる、生理中は食欲がない…など、生理にまつわる体調の変化は人それぞれです。 いずれにせよ、カラダ...

2018/01/05 18:30掲載

女性ならではのお悩み…? なぜ月経前には甘いものが食べたくなる?

女性ならではのお悩み…? なぜ月経前には甘いものが食べたくなる?

執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師) 医療監修:株式会社とらうべ 女性のみなさん、月経前になると、無性に甘いものが食べたくなることはありませんか? どうして、このような現象が起こるの...

2017/11/08 18:30掲載

毎月この時期は憂うつ…。それは「PMDD」の可能性も

毎月この時期は憂うつ…。それは「PMDD」の可能性も

執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師) 医療監修:株式会社とらうべ 月経前になるたびにイライラしたり、落ち込んでしまったりしていませんか? 月経前にこのようないつもと違う精神的な...

2017/02/27 18:30掲載

生理痛はガマンしない… は自然?不自然?

生理痛はガマンしない… は自然?不自然?

執筆:座波 朝香(看護師、助産師) 監修:坂本 忍(医学博士・公認スポーツドクター(日本オリンピック委員会強化スタッフ)・日本医師会認定産業医) 人と比べることが難しい生理(月経)。 生理痛(月経痛...

2017/02/15 18:30掲載

「正常な月経」を知っていますか?

「正常な月経」を知っていますか?

執筆:青井 梨花(助産師、看護師) 監修:坂本 忍(医師・公認スポーツドクター・日本オリンピック委員会強化スタッフ) 月経の量や周期の乱れなどから思わぬ病気がみつかることもあります。 女性特...

2017/01/30 21:30掲載