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脳腫瘍の症状と治療法 :求められる集学的治療
原発性脳腫瘍のなかで多く見られるものに「神経膠腫(グリオーマ)」と呼ばれるタイプがあります。腫瘍には良性と悪性(がん)があることが知られていますが、神経膠腫は良性でも治療しておかなければならない理由があります。
1)腫瘍が重要な脳組織に及んでいることが多い。
2)はじめは良性でも経過観察をしている間に悪性に変わってしまうことがある。
神経膠腫が進行した状態である「膠芽腫」は、すべてのがんの中でも最も治療が困難とされている腫瘍です。外科手術で腫瘍を摘出するのがもっとも効果的な方法ですが、腫瘍のできる場所によっては摘出できなかったり、手術にともなう副作用のリスクが高くなりすぎるケースがあります。そのため、放射線治療や化学療法を併用して治療を進めます。外科、内科、放射線科などが連携してがんの治療を行うことを集学的治療といいます。
脳腫瘍の症状と治療法 :脳腫瘍に対する放射線治療
脳腫瘍に特化した放射線治療には「ガンマナイフ」があります。ガンマ線を1点に集中させて、ピンポイントで組織を攻撃します。重要な脳組織への影響を抑えながら、病変部を選択的に治療できるので、外科手術が困難な病変にも対応できます。また、ガンマナイフと外科手術を組み合わせた治療も行われています。脳腫瘍に有効な放射線治療にはこのほかにも、サイバーナイフ、IMRT(強度変調放射線治療)などがあります。
脳腫瘍の種類や、良性か悪性かによって、予後はさまざまです。とくに悪性の脳腫瘍の場合、手術で完全に取り除いたように見えても周囲の脳組織内に残った腫瘍細胞が時間の経過とともに増えて再発してきます。また、良性だった腫瘍が悪性に変わることもあります。治療後は、定期的に通院して経過観察を行う必要があります。盛田さんのケースでは、手術が成功して復活を果たした後、しばらくしてから再発と転移が見つかりました。盛田さんのご冥福をお祈りいたします。
脳腫瘍は症状が出ないこともある疾患です。身内に脳腫瘍を発症した人がいる場合はリスクが高いと考えられるため、脳ドックなどの検査を検討しましょう。
<参考>
盛田幸妃さんの死を悼む声続々…斎藤隆氏「あまりにも若すぎます」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151017-00000079-spnannex-base
監修:岡本 良平(医学博士、東京医科歯科大学名誉教授)
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