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美にこだわる心理 :「不安をなくすこと」を追い求める
実は、日本人の約65%は「不安遺伝子」とよばれる遺伝子タイプです。
この遺伝子タイプを持つ人が何を不安がるかというと、「想定外」の事態に不安になります。言い換えれば、変化やイレギュラーに敏感なのです。
逆に「想定外」を面白がり、受け流せる遺伝子タイプもありますが、日本人ではこのタイプは約3%と世界で最も少ないのです。
そのため、日本人の多くは「思い通りにいかないこと」に不安を覚え、不安から逃避するように行動することが多いのです。
不安が消えるのは大きな喜びなのでくせになります。
たとえば、拒食症なら空腹感や「体に栄養がない感覚」「(空腹で)頭がぼーっとする感覚」が気持ちいい…と訴える方がいます。
これは、この感覚があることで「人並みの体重になる恐怖」から逃避できるのでくせになってしまった…という訳なのです。整形依存もメカニズムは同じです。
美にこだわる心理 :美意識は個人ではなく社会のなかにある
大事なことは美意識ではなく、自分らしい「美意識とのつきあい方」そして「自分自身とのつきあい方」を見つけることです。
美意識は個人の中にあるものではなく、社会の中にあります。
変えることは難しいですが、美意識とどうつきあうかは自分次第です。
整形や拒食にはまる方の多くは、社会で共有されている美意識通りでないとダメだという思いが強いようです。
ですが、標準体重でも、少々お肌がたるんでも、人の美しさはそれだけではありません。
美意識も一種の感情ですから、信頼関係、愛情、友情など、人が人を美しい、素晴らしい、と思う本質はその「情」にあるのです。
社会にはびこる一面的な美意識だけではなく、周りの方々との気持ちのやり取りを今一度見直してみてください。そこに然るべきあなた自身の姿も、きっと見えてくるはずです。
<執筆者プロフィール>
杉山 崇
神奈川大学人間科学部/大学院人間科学研究科教授。心理相談センター所長、教育支援センター副所長。臨床心理士、一級キャリアコンサルティング技能士、公益社団法人日本心理学会代議員。
公式サイトはこちら⇒ http://www.sugys-lab.com/
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