(※記事中の語句のリンクは、その語句について詳しく解説したMocosuku姉妹サイトが開きます)
がんの予防的切除 乳房切除で乳がん発症リスクは約90%から5%に低下
遺伝子腫瘍症候群として、2つの変異遺伝子を持っている人は、乳腺科や婦人科と連携して定期的に検診を行う必要があります。
また、卵巣がん予防のために、卵巣摘出術を35歳までに受けることで、発症リスクを80%低下させることが出来たと言われています。そして仮に40歳まで手術を延ばすと、卵巣がんリスクを4%上げることになる、と推定されています。さらに50歳まで延ばした場合リスクは、14.2%増加するとも言われているのです。
乳がんも、BRCA1 または BRCA2のどちらか一方、あるいは両方に変異のある女性が、一生のうちに乳がんを発症するリスクは約60%、変異のない女性の場合は、リスクは12%だと言われます。また、両方の乳房にがんが発症するリスクも、87%と高いのです。
アンジェリーナ・ジョリーと同じ変異のある女性が、予防的措置として両乳房切除術を受けた場合は、生涯での乳がん発症リスクは約90%から5%に低下するそうです。
がんの予防的切除 メリット
事前にがんを予防し、発症率を抑えることができます。また、遺伝性のがんを心配していた場合は、不安が軽減して気持ちが楽になるでしょう。
がんの予防的切除 デメリット
手術をすることでがんを予防することはできますが、閉経前の人が乳房や卵巣などのを行うと、更年期障害の症状に見舞われることがあります。人によってはホルモン補充療法を使い、更年期の症状を和らげることもあるでしょう。しかしこの薬には副作用があるため、子宮体がんや乳がんのリスクを高めてしまう可能性があります。せっかくがんを予防するために切除したのに、ホルモン補充療法をすることでがんの発症率をあげてしまう可能性があるのです。また、自費診療のため手術費が150~250万円ほどかかるでしょう。
世界的大スターであるアンジー。がんを予防するとはいえ、健康な状態の乳房や卵巣を切除するというのは勇気が必要だったでしょう。彼女は女優だけでなく監督にまで幅を広げて活動をし始めています。今後のアンジーの生き方にも今回の経験が生きてくるかもしれませんね。
参考:がんの遺伝子(https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/news/201403/535270.html)
予防的乳房切除(http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/envi/h25pdf/h25g10.pdf#search='%E4%BA%88%E9%98%B2%E4%B9%B3%E6%88%BF%E5%88%87%E9%99%A4%E8%A1%93')
執筆:南部洋子(看護師)
監修:坂本 忍(医師)
スポンサーリンク