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難聴 早期の発見と対策が重要
これらのサインは、知的な問題や神経発達の問題を抱えているケースと似ていますが、難聴が原因である場合もあるのです。親や周囲の人が発する声をきちんと聞き取れなければ、当然ながら言葉の発達は遅れがちになります。
早期発見には聴覚スクリーニングが大切です。生まれてすぐの赤ちゃんは言葉を話せないため、耳の聞こえはコンピューターに出る反応によって調べます。最近では、病院で出産してから退院するまでにスクリーニング検査を実施することが多くなっています。
生後6か月未満の子供に対してよく行われているのは、聴性脳幹反応(ABR)という検査です。この検査では睡眠中にヘッドフォンで音を聴かせ、音に反応して生じる脳幹の脳波を測定します。また、ABRに似た検査で、最近開発された周波数別の聴性定常反応(ASSR)という検査が行われることもあります。
難聴によって言葉の発達が遅れてしまうと、結果的に学校教育についていけなくなります。そうなると、学習全般に支障をきたし、本来その子が持っている能力を生かせないことになるのです。
難聴 生後6か月までの対応がカギ
難聴は目に見えないため気づかれにくく、2歳を過ぎてからの「言葉の遅れ」によってようやく発見され、支援開始が3歳以降になることがしばしばありました。しかし、支援開始が3歳以降となると、その後の言語習得にかなりの努力が必要になってしまいます。
言葉の習得には、脳がさまざまな能力を吸収可能なできるだけ早い時期に、脳に音の刺激を与え、眠っている脳の聴覚システムを働かせてやる必要があるのです。その「できるだけ早い時期」の目安は生後6か月とされています。
実際に米国の調査によると、生後6か月までに補聴器を装用し始めた子供は、3歳の時点で健常児の約90%の言語力があったのに対し、1歳以降に開始した子供は3歳の時点で7〜8割の言語力だったという結果が報告されています。
万一聴力に問題が見つかった場合も、生後6か月までに補聴器をつけて適切な対応を開始することによって、その後の言語能力やコミュニケーション能力に問題が生じる可能性は少なくなます。それらの能力は子供の将来を大きく左右するため、生後すぐに聴覚スクリーニング検査をすることが重要なのです。
生まれたすぐは問題なくても、後から難聴になる場合もあります。新生児のスクリーニング検査で問題がなくても、その後子供の言葉の発達に違和感を感じたら、親はその子の様子を注意深く観察しましょう。上記のようなサインが現れた場合は、なるべく早く医師に相談するといいでしょう。
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