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マラソン大会の脱水症状 :レース終盤に起こりやすい「けいれん」とは?
私たちの体は体重の60%近くが水分だと言われています。大量発汗による脱水、つまり「体液の急減」が起こると、口内の渇きのほか、めまい、吐き気、頭痛、けいれん、意識障害などの症状が次々に生じる可能性があります。
これら脱水の諸症状の中で、市民ランナーが最も避けたいのは、レースの中断を余儀なくされる「けいれん」、つまりこむら返りに象徴される「筋肉の異常収縮」でしょう。例えば、レース中に「けいれん」を起こした部位を無理にストレッチする過程で、筋繊維が部分断裂する「肉離れ」を起こし、かえってケガの回復が遅れる原因になる場合もあります。
一般に脱水症状は、唇のヒリヒリ感や手指の軽い感覚麻痺(違和感)として知覚され始めますが、時に応じてスポーツドリンクなどの補給が可能であれば、知覚後の対応でも回復が見込めます。
何より重要なのは、けいれんに至らないための「こまめな給水」ですが、とはいえ「初フルマラソン」「沿道の熱い応援」「爽やかな晴天と美しい紅葉」などにハイテンションで臨む市民ランナーには、「初期症状の見過ごし」や「勘違い」が起こりやすいものです。レース中に自らの異状に気づいた時には給水が間に合わない状態に陥っており、ゴールまであと少しというところで「下肢全体のけいれん」に見舞われることも珍しくありません。
マラソン大会の脱水症状 :当日の予報から給水プランをイメージ
フルマラソンに参加するレベルの市民ランナーならば、自身に関する「気象条件と給水のタイミング」についてはすでに把握できていることでしょう。そのうえでより確実を期すべく、マラソン大会が催される遠征先の当日の予報(天気、風、最低・最高気温、降水確率など)に基づいた給水プランを予めイメージしてみます。
例えば、「移動性高気圧の後面」や「前線を伴った低気圧の暖域」などに入った場合に起こりやすい「快晴・気温差大」や「晴天・南風・降水なし」などの予報には、レースの序盤5kmからコンスタントに給水するプランを立て、歩道寄りを走るようにします(フルマラソンではたいてい、5kmごとに給水所が設けられます)。
また、「曇り・気温差小」や「弱風・小雨」の予報では脱水は起こりにくくなり、「寒冷前線の通過」や「西高東低の気圧配置」による「風の強い雨天」の予報では「低体温症」を想定した寒さへの対策が必要になります。
発症した脱水への対応としては、次の給水ポイントで「必ず停止」し、「やや過剰」との実感を得るまで水分と電解質を補給します。具体的には、紙コップの場合はスポーツドリンクと水の2種類を合計で500ml程度飲み、エイドが併設されている場合はリンゴやバナナなどの果物を積極的に摂ります。
飲食の間も軽いストレッチを繰り返し、筋肉の硬直化を防止します。コースに復帰する場合は、遅れを取り戻そうとしていきなり走り出すのではなく、「腕振り歩行→速歩→走行」のように歩行時のストレッチ効果を活かしつつ自然にレースに合流します。この時のケアの効果は「45~60分後の自分の走り」に現れるはずです。
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