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かくれ不眠:寝不足と不眠症との中間状態
最近になって注目されてきた「かくれ不眠」もまた、睡眠の質が悪い状態です。
「かくれ不眠」とは慢性的な不眠ではなく、睡眠に悩みや不満を抱え、日常生活に影響があり、しかも、睡眠の重要性について認識が低い状態を指します。
特定非営利活動法人(NPO法人)日本ブレインヘルス協会に属する「睡眠改善委員会」による造語です。
かくれ不眠は単なる寝不足と不眠症との中間状態ともいえます。
「快眠」のメカニズム
入眠すると、まず眠りは深くなり、もっとも深い睡眠段階4までいくと、今度は徐々に睡眠が浅くなり、睡眠段階2まで戻ってきます。
これを「ノンレム睡眠」と呼びます。脳が眠っている「深い眠り」です。
そして次に「レム睡眠:REM(急速眼球運動)」と言って、脳は起きている浅い睡眠になります。
この一連のセットを「睡眠周期」と言い、1周期平均90分で、たとえば7時間睡眠する場合、一晩に約4~5回、この睡眠周期が繰り返されます。
朝、すっきり目覚め、昼間は必要以上に眠くならず、夜になると自然に眠くなって熟睡するという質の良い睡眠には、睡眠周期の充足が基盤となってきます。
そして、これに関与する「体内時計」、睡眠を促すホルモン「メラトニン」の作用、ひいては太陽の光を浴びたり、一定の時間に起き、朝食を食べるなどの「生活習慣」の果たす役割に、「睡眠の質向上のキーファクター」として最近では注目が集まっています。
厚生労働省健康局「国民健康・栄養調査報告」によると、平成24年に20歳以上で睡眠に不満を持つ人の割合は14.9%でした。
睡眠による休養が「あまりとれていない」または「まったくとれていない」と、睡眠に何らかの不満や問題を感じている人の割合です。
特に40歳台では約5人に1人が睡眠に不満を持っていました。忙しい勤労世代の睡眠の質がよくないことが伺えます。
睡眠の質を良くするには、「眠り方」ももちろん大事ですが、働き方や生活の仕方、ひいては生き方も併せて考える必要があるといえるでしょう。
執筆者:井上 愛子(看護師)
監修医:坂本 忍
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