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「思春期妄想症」にはどんな特徴がある?
誰でも嫌な人ほど頭の中に住むものですが、この状態に没入して歯止めがなくなるのが思春期妄想症です。ある調査では大学生の約9割が「見張られている」と感じる体験をし、大半が「人から変な目で見られるかもしれない」という対人恐怖(視線恐怖)を体験しているそうです。程度は人それぞれですが、思春期には人の目を意識して悶々としたり、劣等感にさいなまれたりすることは珍しいことではないのです。
多くの場合、思春期妄想症は一時的なものです。この時期は脳が成熟する過渡期なので、脳の発達がアンバランスになるのです。中でも「人の目を気にする」は他者と人間関係を築くための大切な脳機能なのですが、気にしすぎても生きづらいものです。まだ脳科学で完全に解明されたわけではありませんが、思春期妄想症では人の目を気にする機能のアクセルだけが突出して、一時的にブレーキが利かなくなるようです。
青年期ゆえの心の闇だった?
多くは社会経験という刺激を受けると脳の成熟も進んで落ち着いてきます。そして大人になると当時のことは忘れてしまう人が多いようです。覚えていても「あの頃は変なこと考えてたなあ…」と完全に過去のことになるようです。
ですが、思春期妄想症の真っただ中にいると「批判されてる」「バカにされてる」「なめられている」が「世界のすべて」のように感じられてしまいます。この世界から抜け出すには「自分を変える」か「環境を変える」、あるいは「世界のすべてを破壊する」しかありません。「世界のすべて」を本当に破壊することはできませんが、世界のすべてを象徴するような身近な対象に破壊の衝動が向かっても不思議ではありません。
このテーマは青年期を題材にした文学や映画などにもよく表れていて、何らかの破壊や破滅が描かれている作品は思春期の妄想的な世界からの脱出を象徴するものも多いのです。それだけ多くの人が陥る心の闇とも言えます。
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