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障害者を取り巻く現在の環境
近年以降について言いますと、1975年に国連で「権利宣言」が行われ、人権の保護が謳われたこと。1981年を「国際障害者年」と宣言。2003年に障害者の自己決定・自己選択を尊重したいわゆる「自立支援」が構築。2002年からは、精神保健福祉サービスや精神障害者居宅支援事業などを、市町村が中心となって推進することになりました。
このように、障害者への支援は、お上主導の「措置」による入所型施設中心から、在宅・地域福祉サービスへと移行・促進されてきています。
これを受けて、障害者のニーズに合った福祉を合言葉に、NPO法人、ボランティア団体の活躍が活発になったことが、障害者へのケアやサービスの質や量を高めてきたと言えるでしょう。
現在では、12月3日が「国際障害者デー」、2004年から12月3日~9日までを「障害者週間」と定められています。
オリンピックも身体障害者の「パラリンピック」や「スペシャルオリンピック(知的障害者のオリンピック)」が知名度を上げてきています。
障害者とのつきあい方
1976年に刊行された乙武洋匡さんの著書『五体不満足』は、障害は個性だという強烈なメッセージを私たちに与えました。
ともすると「日陰者」として、差別の対象として扱われてきた「障害者」。その人権については、なおも、多くのハンディを背負ってはいるものの、乙武氏のように、さまざまな分野で自立にむかって積極的に活躍する人が増えています。いわゆる「健常者」が、障害者と一緒に活動するなどして、障害者を理解し、一緒に生きていくことは、ますます重要になってくるでしょう。
ICT技術の発達などによって、最近ではバーチャルな手法で、障害者の疑似体験もできるようになりました。こうした技術の活用も、その理解や共生に役立つことでしょう。
障害者が自立を目指し、日常生活や職業生活を行いたいと願っても、ハンディキャップや偏見(差別)によって、まだ十分な活躍ができない現状もあります。バリアフリーな生活、雇用や就労支援、教育としての「特別支援」など、課題が多いことも忘れることはできません。
<執筆者プロフィール>
山本恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長
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