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執筆:山本ともよ(管理栄養士)
食中毒の予防をするための3大原則は「菌をつけない、増やさない、やっつける」。
しかし、食中毒を引き起こす細菌の中には、「火を通せば大丈夫」が通用しない種類がいるのを知っていますか? そんな怖い食中毒を避けるための注意点をご紹介しましょう。
加熱でも死なない細菌の「芽胞」
ほとんどの細菌やウイルスは加熱によって死滅するため、肉や魚、野菜などの食材、調理器具などは熱湯消毒するのが食中毒予防の基本なのは確かです。しかし実は、高温に強く、加熱しても完全に不活化することができない「芽胞」(がほう)という形態になる能力を持った細菌が存在するのです。
このタイプの細菌は、栄養や温度などの環境が悪い状態に置かれると、細胞内に芽胞を形成します。芽胞は細菌が過酷な環境で生きのびるための構造で、強い耐久性を持っているのが特徴です。
芽胞になった細菌は、一般的な加熱処理の目安とされる75℃で1分以上の加熱でも死滅(不活化)しません。
それどころか、100℃以上の高温や消毒薬などの化学物質、紫外線にも高い耐久性を示すのです。
こうして生き残った芽胞が、再びその細菌の増殖に適した環境に置かれると、芽胞は「発芽」して通常の状態に戻り、増殖を始めます。つまり、芽胞状態になった細菌が残っていれば、たとえ100℃に加熱しても食中毒のリスクは残っているのです。
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