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「更年期障害」の症状をチェック!
「更年期」という言葉はよく聞きますが、具体的にどのような症状があるのか知らない人も多いでしょう。エストロゲンが減少すると、自律神経や脳機能、皮膚代謝や骨代謝といったさまざまな器官の機能がこれまで通りにいかなくなり、身体のふしぶしに不調を感じるようになります。
このような症状のうち生活に支障が出るほどのものを更年期障害といいます。
□顔がほてる
□汗をかきやすい
□皮膚や粘膜が乾燥する
□腰や手足が冷えやすい
□息切れや動悸がする
□寝つきが悪い・眠りが浅い
□イライラしやすい
□憂うつになることがある
□頭痛・めまい・吐き気がよくある
□疲れやすい
□食欲不振
□肩こりや腰痛に悩まされている
□トイレが近い
□腟や尿道がひりひりする
ただこのような症状は、高血圧症、緑内障、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、糖尿病、うつ病、パニック障害でも起こりますので、症状から診断せずに、血液検査でまずは正確な診断をしてもらってください。
女性の体質や環境、心理状態によっても症状が違います。とはいえ、更年期は決して短い期間ではありません。それと同時に、どんな女性の身にも更年期はやってきます。
更年期障害にはどのような治療法があるのでしょうか?
「更年期障害」の治療法や対策法とは?
更年期障害の治療法は大きく分けて2つに分類されます。
①対症療法と②ホルモン補充療法です。
①対症療法の特徴
抗不安薬、睡眠導入剤、漢方薬など、更年期におこる「ほてり」「発汗」などの不快な症状を軽減するために使用されます。エストロゲンが上がるわけではないので、エストロゲンの低下による病気の予防にはなりません。ですから不快な症状が自制範囲であれば、使用する必要はありません。
②ホルモン補充療法の特徴
もともとエストロゲンの低下による病気の予防を一番の目的にしている治療法です。低下してしまったエストロゲンを補充するので、当然「ほてり」「発汗」などの不快な症状は軽減されます。
またエストロゲンの作用である、「意欲」や「集中力」を高める効果があります。その他、更年期以降、エストロゲンの低下によりおこる3代疾病「動脈硬化」、「骨粗鬆症」、「認知症」
が平成の時代になってから分かってきました。
とくに65歳以上の日本人女性の1/2が骨粗鬆症です。背骨が曲がる、股関節に人工骨頭を入れる手術をしたなど、骨粗鬆症は発症するまでは全く症状はありませんが、発症後は大変な治療が必要になります。
ですから、閉経とともにこの3代疾病をなるべく予防して、健康寿命を延ばそうというのが現在のホルモン補充療法の大きな目的です。
ホルモン補充療法(HRT)
欠乏したエストロゲンを補う「ホルモン補充療法(HRT)」という治療法です。これにより、ほてりやのぼせ、性交時の痛みなどの症状が改善し、関節痛やイライラなどの症状も軽減されます。
ホルモン補充治療(HRT)には、飲み薬を筆頭に、下腹部に貼る薬や肌に塗るジェル剤などがあります。更年期障害によって起こる不調に効果が認められていますが、閉経後におこる病気の予防が一番の目的です。るので、症状が重い場合は検討してみるといいでしょう。
抗うつ剤・安定剤
更年期障害のなかでもイライラやうつなど精神的な症状が重い場合は、精神焼薬を使用する方法もあります。カラダだけでなくココロのバランスを整えるためにも、精神科や心療内科でカウンセリングを受けるといいでしょう。
漢方薬
ひとくちに更年期障害といっても、起こる症状は人によってさまざまです。「冷えを改善したい」「イライラしたくない」「便秘がひどい」など、身体に合った症状の改善を目指すのが漢方薬です。
なかでも、加味逍遥散(かみしょうようさん)や、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)は更年期障害の改善としてよく処方されます。また副作用がないと思われがちですが、腎機能障害、肝機能障害など副作用があります。不調を感じたら医師に相談してください。
現在では男性も女性も、アンチエイジング(抗加齢)からウェルエイジング(その年らしく年齢を重ねること)」が望ましいと言われています。
昭和の時代には高血圧、高脂血症、糖尿病といった生活習慣病に対するケアが中心でしたが、平成の時代は性差を尊重して、例えば男性であれば前立腺癌、前立腺肥大、女性は閉経後骨粗鬆症というようにさらに幅広いケアがなされるようになってきました。
また生活や運動、食事で改善できる病気はまとめて「生活習慣病」と呼びます。逆をいうと、その他の病気はどんなに生活や食事を改善しても、仕方のない部分があります。
まずはよく知ること、そしてよく理解すること、そして、症状から推測で診断するのではなく、検査を受けて正確な診断を受けてください。症状から推測でご自身で診断し、健康食品や薬を服用されるのは危険です。
どんな女性の身にも等しくあらわれる更年期。身近にいるアラフィフ女性が悩んでいたら、そっと手を差し伸べてあげましょう。
<監修者プロフィール>
太田 郁子(おおた・いくこ)
倉敷平成病院婦人科医長、医学博士、日本子宮内膜症啓発会議実行委員
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