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日照時間の長さがもたらすココロへの影響
では、なぜこのような症状が現れるのでしょうか?
このような疾患の発症と関係しているといわれるのが、日照時間と「セロトニン」です。
近年、うつ病患者の増加などに伴って、マスコミなどでもよく耳にするようになった「セロトニン」。これは、脳内物質のひとつで、脳だけでなく、身体中にさまざまに作用することから、「幸せホルモン」とも呼ばれています。
セロトニンには、脳を覚醒状態に導き、頭をスッキリさせる、ココロのバランスを整え、気分を安定させる、自律神経のバランスを整えて、寝つきをよくする、といった働きがあります。
さきほど、セロトニンと日照時間が精神的な症状に関連しているというお話をしましたが、セロトニンは日光を浴びることで分泌が促進されることが分かっています。そのため、日照時間が長い夏に多く分泌が促進されやすく、反対に日照時間が短くなる秋~冬にかけて分泌が抑制されやすくなります。
北欧などでは、冬に症状を訴える「季節性感情障害」の罹患率が高いとされていますが、これについても緯度が高く、冬季の日照時間が短いことが関係していると考えられています。
北欧ほど多くはありませんが、日本でも日照時間が短くなり、セロトニンが不足しやすくなる秋~冬にかけて、気分が落ち込んだり、心身の調子が悪くなることがあると考えられています。
セロトニン不足にならないために
このように、セロトニンの分泌に影響を与える気候と私たちのココロには深いつながりがあります。
これから夏が終わると、それに伴って日照時間も短くなり、ココロの不調も現れやすくなります。日照時間が短くなる季節だからこそ、意識的に日光に当たることを心がけましょう。
とくに、起床後の30分以内に太陽の光を浴びることで、セロトニンを分泌するセロトニン神経が活性化されるといわれています。朝目覚めたら、カーテンを開け、意識的に太陽の光を浴びることで、スッキリと目覚めることができます。
また、このほかにも運動不足や栄養の偏った食生活などもセロトニン不足に影響を及ぼすといわれています。基本的なことですが、セロトニン不足を防ぐためにも、日々の生活習慣を見直すことが重要であるといえます。
ここまでお話してきたように、私たちのココロと気候には関係があります。「毎年、秋~冬にかけて気分が落ち込み、春~夏にかけて調子が良くなる」という人は、秋~冬の過ごし方を見直してみると良いでしょう。
また、「日常生活に支障があるほど、気持ちの落ち込みが激しい」という場合には、心療内科などの受診も検討しましょう。
<参考>
成和脳神経内科医院(http://taku1902.jp/sub450.pdf)
Royal College of Psyshiatrists(http://www.rcpsych.ac.uk/healthadvice/translations/japanese/sad.aspx)
<執筆者プロフィール>
伊坂 八重(いさか・やえ)
メンタルヘルスライター。
株式会社 とらうべ 社員。精神障害者の相談援助を行うための国家資格・精神保健福祉士取得。社会調査士の資格も保有しており、統計調査に関する記事も執筆。
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士など、健康に関わる専門家ネットワークによる信頼性の高いコンテンツをプロデュースする企業
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