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精神医学的特徴
アメリカ精神医学会が発行する『DSM-5』(精神疾患の分類と診断の手引き)では、トラウマは次のように規定されています。
「実際にまたは危うく死ぬ、重症を負う、性的暴力を受ける出来事への、以下のいずれか1つ(またはそれ以上)のかたちによる曝露(身をさらすこと)」
1. 直接体験する
2. 他人に起こった出来事を直に目撃する
3. 近親者または親しい友人に起こった出来事を耳にする(家族や友人が死んだり、危うく死にそうになったりするのは、暴力的あるいは偶発的でなくてはならない)
4. トラウマを受けるような出来事の強い不快感を抱く細部に、繰り返しまたは極端に暴露される体験(遺体を収集する緊急対応要員、児童虐待に繰り返し暴露される警官などが好例)
どんな出来事がトラウマとなるのか
武蔵野大学の小西聖子教授(心理学、精神医学)は、トラウマをもたらす出来事の特徴や、具体的にどんな出来事がトラウマをもたらし得るかを、次のようにまとめています。
<トラウマ をもたらす出来事の特徴>
出来事が予測不能であること。不意にやって来るし、後の「見通し」も立たない
コントロールできない。自分の力で事態を繰ることができない
起こっていることが非常に残虐だったり、グロテスクだったりする
自分が愛している人や大事にしている何かを失うこと(対象の喪失)
暴力的な出来事。これは特にトラウマをもたらしやすい
起こってくる結果に対して自分に責任があると感じたり、主観的に責任があるとどうしても感じられたりすること
<トラウマ となり得る出来事の具体例>
自然災害(地震、台風、洪水、竜巻など)
人為災害(航空機事故、鉄道事故、交通事故など):自分だけ助かったとか、家族を助けられなかったなどがトラウマになる場合もある
生命に関わる大ケガ
毒物を用いた犯罪や事故の被害(サリン事件や和歌山毒物カレー事件が有名)
誘拐、捕虜、監禁の体験
暴力的な犯罪被害(性暴力を含む)
児童虐待の被害(身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待を含む)
親しい人の突然の予期せぬ暴力的な死
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