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ストレスとトラウマは別物
ひと頃、「トラウマ」は流行語のように日常会話の中で使われていました。しばしば、「ショック」「痛み」「嫌な思い出」といった意味合いで、軽いノリで使われています。しかし、これらはどちらかと言えば「ストレス」に近いものです。
トラウマは本来、ストレスやちょっとした嫌な思い出とは違います。例えば、ストレスの場合、原因(ストレッサー)にさらされていると、さまざまなストレス反応が起こりますが、ストレッサーを取り除くとストレス反応は消失します。
ストレスがこのように「可逆的」なのに対して、トラウマは本来、一度経験すると、もう元の状態に戻ることができないという「不可逆性」を特徴としています。
例えば普段の生活の中で起こるような離婚、病気で家族を失う、失業などは、大きなストレスにはなりますが、医学的にはトラウマになるような出来事の範囲には含まれません。
トラウマは、一生消えないような重い心の傷です。それゆえに、後からそれが心身の不調となって現れることがあります。その代表例が、最近よく耳にするようになったPTSD(心的外傷後ストレス障害)です。
<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長
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