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執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター)
一生消えないような大きな心の傷。
それが「トラウマ」というものです。そして「PTSD(ピー・ティー・エス・ディー)」は、そのトラウマが引き金となって起こる精神疾患です。
戦争、事故、災害、虐待、犯罪、テロなど、生命が脅かされ死を意識するような強烈な経験によってトラウマを負うと、そこからさまざまな精神的・肉体的症状を発症します。
今回はそのPTSDについて、詳しく見ていこうと思います。
PTSDの診断基準
PTSDは「Post Traumatic Stress Disorder」の略で、「心的外傷後ストレス障害」と訳されます。
PTSDという概念自体は以前からありますが、2013年にアメリカ精神医学会が刊行した『DSM-5』 (精神疾患の分類と診断の手引き最新版)では、それまでと比べPTSDの診断基準が複雑になっています。
具体的には、下記の8つの項目が挙げられています。
A. 心的外傷(トラウマ)を抱えていること
B. 侵入症状(体験の記憶が繰り返し蘇る)
C. 持続的回避(体験に関連するものを遠ざける)
D. トラウマと関連した認知と気分の陰性の変化(ものごとを否定的にしか受け取れない、前向きな感情を感じられない)
E. トラウマと関連した覚醒度と反応性の著しい変化(怒りやすくなる、自己破壊的になる、過剰に警戒や動揺する、集中力がなくなる、眠れなくなるなど)
F. 上記B、C、D、Eが1か月以上持続している
G. その障害が、臨床的に意味のある苦痛や社会的に重要な機能の障害をきたしている(トラウマがもたらす苦痛によって社会生活を送るのに支障が生じている)
H. その障害は物質や他の医学的疾患の生理学的作用によるものではない
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