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共依存が抱える深刻な問題
共依存という関係が問題視されるのは、さまざまな問題の原因となっていることが多いからです。先ほど挙げたアルコール依存症以外にも、ギャンブル依存症をはじめとするさまざまな依存症やDV(ドメスティックバイオレンス)を助長する原因にもなります。
ところが、依存症患者を支える家族やDVを受けている被害者の中には、相手のために献身的に尽くしていることが問題を悪化させていることに気がつけない人が少なくありません。
そのため、「自分が我慢すればよい」と思って周りに助けを求めることができず、さらに事態を悪化させてしまいます。
またたとえ気がついたとしても、「この人を支えられるのは、自分しかいない」という想いから、なかなか相手を断ち切ることができません。
その結果、自分と相手の関係に悩み、うつ病などの精神疾患に至ることもあります。
さらに、このような問題を抱えた家庭は、両親が親としての役割を果たすことができません(=機能不全家族)。
そして残念なことに、その影響が子どもにも及んでしまいます。アルコール依存症や虐待、育児放棄など、家庭内対立をはじめとする問題を抱えた家庭で育った子どもは、大人になっても生きづらさを抱えやすいことがわかっています。
このような人は、「アダルトチルドレン」とよばれています。
では、共依存に陥らないためには、どのようなことに気をつければよいのでしょうか?
共依存にならないために
これまでの研究で、次のような特徴を持っている人が共依存になりやすいとされています。
相手や周りのために自分を犠牲にしやすい
相手に過干渉になりやすい
自己評価が低い
自分の気持ちを表現するのが苦手
孤独になることに不安を感じる
ご自分で該当する項目はありましたか?共依存にならないためには、まずは自分にその傾向があるかどうかを知ることが大切です。
もしこのような傾向がある場合には、相手に過干渉になりすぎないように注意しましょう。とくに、「私がいないと何もできないから、やってあげなきゃ!」この感覚は、危険です。
最初にお話したように、周りの人が自己犠牲を払うことでかえって問題を悪化させてしまうこともあります。
本人が直面している問題を解決するためには、少なからず本人の努力が必要です。周囲が犠牲になったとしても、根本的な問題解決にはならないのです。
相手とどのように関わるべきかわからないときには、専門機関に相談してみましょう。
直面している問題がアルコール依存症などの場合には、心療内科や精神科に相談することができます。
ただ、いきなり医療機関に相談することに対して、敷居が高いと感じる方もいるかもしれません。その場合には、精神保健福祉センターなどの地域の相談窓口を利用してみるのもひとつの方法です。
また、DVに悩んでいる場合には、各都道府県に複数設置されている配偶者暴力相談支援センターを利用することもできます。
共依存は、自覚しにくく、また自覚できたとしてもひとりで解決することは難しい問題です。そのため、共依存関係に陥らないよう、自分の傾向を把握することから始めてみましょう。
<執筆者プロフィール>
伊坂 八重(いさか・やえ)
メンタルヘルスライター。
株式会社 とらうべ 社員。精神障害者の相談援助を行うための国家資格・精神保健福祉士取得。社会調査士の資格も保有しており、統計調査に関する記事も執筆
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