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エイズの感染経路
「性行為感染」「血液感染」「母子感染」の3つが感染経路であることがはっきりわかっています。
唾液・汗、涙などからは感染しません。この3つの感染経路について、詳しく見ていきましょう。
1.性行為感染
HIVに感染した男性の精液がパートナーの膣、肛門、口の中に入ることで粘膜からHIVが侵入し、感染します。
射精前に分泌される「カウパー液」というものにもHIVが含まれています。そのためコンドームなしでペニスを挿入した場合には、たとえ射精をしなくても感染する可能性があります。
男性同士の性行為では、腸管粘膜からHIVが侵入してしまいます。
膣や口腔の粘膜は重層になっていますが、腸管粘膜は単層です。
そのため、傷つきやすくHIVが侵入しやすいためく、感染リスクが高くなります。HIVに感染した女性の膣分泌液がパートナーの性器や口の中に入っても同じように感染します。
感染している人の唾液にもHIVは含まれています。ただ含まれる量は微量ですので、感染力はないといっていいでしょう。
しかし感染している人の歯茎や口の中が傷ついていて出血などしているときにディープキスをすると、感染する可能性はあります。
また指に切り傷があるときに、その指を感染している人の膣に入れた場合も傷口から感染する可能性はゼロとはいえません。
コンドームを使用しないで性行為を行ったときの感染率は、0.1~1%程度です。
ただし、たった1回のセックスで感染した人も現実にはいます。またほかの性感染症に感染していると、感染の確率はグンと上がります。
2.血液感染
注射針を回し打ちしたりするとき、感染者の血液からHIVが体内に侵入します。
注射針の回し打ちは、麻薬や覚せい剤などで注射器を使ったりするときに行われているようです。麻薬や覚せい剤はそれだけで大変恐ろしいものですが、さらにHIV感染の可能性もあるということになります。
ほかに注射針を刺すという機会があるのは、医療行為のときです。
ただ日本の医療機関では使い捨ての注射針を使っているので、感染の心配は基本ありません。
輸血については、現在日本赤十字社ですべての献血血液について厳格なHIVの検査を行っており、安全対策が取られています。
そのため、感染の危険性は極めて低いといえます。
ちなみに、感染者を刺した蚊に刺されても感染はしません。
3.母子感染
母親がHIVに感染しているときには胎児のときの胎内感染、出産時の産道感染、また母乳哺育での感染があります。
母子感染防止のために以下のことが行われています。
a.妊娠初期に感染診断(HIV検査の実施)
b.妊娠中に抗HIV療法
c.陣痛が来る前に選択的帝王切開術
d.帝王切開時のAZT(アジドチミジン:日本人が発見した抗HIV薬のこと。シロップ予防投与)点滴投与
e.出生児へのAZT
f.出生児の人工乳哺育
これらを行うことで、母子感染率は0.5%以下に抑えられています。
ですから、HIVに感染している女性でも、出産や育児をしている人は多くいます。
HIVの潜伏期間
HIVの潜伏期間は2種類あります。
ひとつはHIVに感染してから初期症状までの期間で、潜伏期間は2~3週間といわれています。
もうひとつはエイズ発症までの期間で、潜伏期間は5~10年ほどといわれています。2000年以降は、5年以内に発症したという報告が多くなっていて、現在は3年程度と考えられています。
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