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感染後の経過と初期症状
HIVに感染してリンパで増殖した場合、感染してから2~3週間くらいで次のような初期症状がでてきます。
<初期症状>
・発熱
・リンパ腺の腫れ
・喉の痛み
・皮膚疾患(急性期皮疹、帯状疱疹、単純ヘルペス、脂漏性皮膚炎など)
・筋肉痛、関節痛
・嘔吐
・下痢
・そのほか(頭痛、肝臓・脾臓の腫れ、体重減少、口腔カンジダ症、神経症状など)
初期症状は1~2週間続きます。しかし身体の免疫システムに攻撃されるので、急激にウイルスの数を減らし、初期症状も治まってきます。
そして感染から6か月位で、体内のHIVの量は、一定のラインで落ち着きます。
通常のウイルスだと免疫の働きで全滅しますが、HIVは決して完全には消えません。
この後、エイズを発症するまでには3~10年ほど、何もない期間があります。
風邪を引く程度のことはありますが、健康であるかのように過ごすことができます。しかし、実際にはHIVが徐々に数を増やし、身体の免疫機能は低下していきます。
そしてHIVが急激に数を増やすことで、免疫機能はなくなってしまいます。
その結果、健康ならば発症しないような病気になってしまいます。これがエイズ発症です。
HIVの予防
HIV感染の85%以上が、性行為による感染です。
一番の予防法は、性行為のときに必ずコンドームを正しく使うこと。またこれと同時に、相手にも必ず使用してもらうことが重要です。
そして精液、膣分泌液、血液などに直接触れないようにすることもが大事です。
オーラルセックスでも感染しますので、その場合もコンドームが必要です。
ゴムの臭いが苦手な人はオーラルセックス専用コンドームがあります。「デンタルダム」というものも販売されていますので、これを使用するのもいいでしょう。
同性間の性行為は、妊娠の心配がないことからコンドームを使用しないことが多く、結果的に感染リスクが高くなっています。注意しましょう。
またピアスや刺青などから、血液感染する可能性も高くなります。
用具の使いまわしや不充分な消毒、使い捨ての用具を使用しないことでHIVだけでなく、B型肝炎やC型肝炎へ感染する危険性があります。
血液感染を予防するためにも用具を使いまわしていないか(使い捨ての用具かどうか)、消毒がきちんとされているかなど必ず確認してみてください。
母子感染の予防としては、妊娠したら妊婦検診でHIV検査を受け、母親が感染しているかどうかを確認することが重要です。
先ほどご説明したように、もし感染していても予防治療薬の服用や帝王切開を行う、母乳ではなく人工乳で育てる、といったことで母子感染は1%以下になってきています。
2014年の世界での新規HIV感染者は200万人です。
この数字を2000年の310万人と比較すると、減少していることがわかります。
ところが日本を含む太平洋地域は、HIV感染者が多い地域です。
なかでも、インド、インドネシア、中国などでは新規感染者が比較的多くでており、日本では1日に約4名が新規にHIV感染者となっています。
患者数は横ばい傾向で、現在、約24,500名がHIV・エイズ患者です。
この数字を見ても、HIV感染やエイズの発症は決して他人事ではないことがわかるかと思います。今回を機に「自分のこと」として、感染予防をしっかりと行っていきましょう。
<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー
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