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執筆:青井 梨花(助産師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
パートナーや旦那さま、またそのお父さんやおじいちゃんの頭をみて、「将来、この人も薄毛になるかも・・・」と落ち込む女性は多いかもしれません。
日本の成人男性の3人に1人の割合で起こるといわれる薄毛。
はたして本当に薄毛は遺伝するのでしょうか?
薄毛の原因
そもそも薄毛の原因とは何なのでしょうか?
髪の寿命は通常4~6年といわれ、新しく生えてきた毛が、ある程度成長したあと自然に抜け落ち、また新しい毛が生えてくるという「ヘアサイクル」を繰り返しています。
このヘアサイクルが何らかの原因で乱れてしまい、しっかり太く成長する前に抜け落ちてしまったり、新しい毛が生えるまでに時間がかかったりすると、徐々に髪の毛全体のボリュームがなくなり、薄毛になるのです。
薄毛は大きく分けると3つのタイプに分類できますが、とくに「M型」「O型」などといわれる、男性に多い薄毛のタイプを「男性型脱毛症」(AGA:androgenetic alopecia:エージーエー)といいます。
薄毛は遺伝する?:2つの原因
5α-リダクターゼの活性が高い場合
「男性型脱毛症」のおもな原因と考えられるひとつに、男性ホルモンのテストステロンの影響があります。
テストステロンが頭皮にある「5α-リダクターゼ」という酵素とくっつくと、「ジヒドロテストステロン(DHT)」という、やっかいな別の男性ホルモンに変化します。
そして、毛髪の毛乳頭にあるホルモンを感知する器官「アンドロゲンレセプター」に、このジヒドロテストステロン(DHT)が反応することで、毛髪が十分成長する前に抜け落ちてしまうなど、ヘアサイクルの乱れを引き起こし、薄毛が目立ってくるのです。
5α-リダクターゼとテストステロンがどの程度結びつきやすいかを示す、「5α-リダクターゼの活性」が高いと、薄毛が引き起こされるといわれます。
そして、活性が高いかどうかの体質は優性遺伝で、父母どちらかが5α-リダクターゼ活性の高い遺伝子を持っていると、子どもにも体質が受け継がれるのではないかと考えられています。
アンドロゲンレセプターの感受性が高い場合
もうひとつの原因といわれることに、アンドロゲンレセプターにジヒドロテストステロン(DHT)がくっつきやすい傾向のある人、つまり、アンドロゲンレセプターの感受性が高い人も薄毛になりやすく、この感受性を決めるのも遺伝子なのではないかといわれています。
ちなみに、アンドロゲンレセプターの感受性を決める遺伝子は、X染色体に存在しているとのこと。
男性は父親からY染色体、母親からX染色体をもらっているので、X染色体にある母親の情報が息子に遺伝します。
ですから、母方の祖父が薄毛の場合、その遺伝子を受け継いだ孫が男性の場合、将来、男性型脱毛症(AGA)になる可能性があるのです。これは、かつてドイツの研究チームが発表したことですが、「ほかにも薄毛の遺伝子があると思うので、一概には言い切れない」としています。
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