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執筆:伊坂 八重(メンタルヘルスライター)
医療監修:株式会社とらうべ
有名な童話「眠れる森の美女」。
世界的にはいくつかストーリーがあるようですが、日本では、呪いにかけられたお姫様が長い眠りにつき、王子様のキスによって目覚めて結ばれるというグリム童話が有名です。
ところで、この童話になぞらえて呼ばれている「眠れる森の美女症候群」という病気があることをご存知でしょうか。
一体どういう病気なのか、解説していきます。
眠れる森の美女症候群とは
「眠れる森の美女症候群」という言葉は、通称であり、正式な病名ではありません。
一般的には、「クライネ・レビン症候群(またはクライン・レビン症候群;Kleine-Levin syndrome)」のことを指していることが多いようです。
クライネ・レビン症候群は、数日間~2週間程度、傾眠(けいみん)状態が続く過眠症のひとつです。
傾眠とは、周りからの刺激に対して反応はするものの、意識がもうろうとした状態のことを指します。
クライネ・レビン症候群になると、周りからの問いかけに簡単に答えることはできますが、口数は少なく、表情もぼんやりとしています。強い眠気があり、昼夜を問わず1日15時間以上眠り続けます。
周りの刺激に反応できなくなる昏睡(こんすい)状態とは異なり、食事や排せつなどは自分で行うことができます。
クライネ・レビン症候群は、このような傾眠状態および過眠の症状が数カ月の間隔をおいてくり返される病気です。
さらに、『睡眠障害国際分類第3版』によると、傾眠状態や過眠の症状が現れている時期に、認知機能障害、知覚変容(錯覚など)、食行動異常(過食など)、脱抑制行動(性欲が高まり、抑えることができないなど)のうち、1つ以上があてはまるものがあることも、診断基準のひとつに挙げられています。
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