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クライネ・レビン症候群の症状
先ほどお話したように、クライネ・レビン症候群は、傾眠状態と過眠の症状に加えて、食欲や性欲の著しい増加などがみられることがあります。
とくに、食欲の増加は過食をもたらすほか、食べ物の好みが変化するケースもあります。
覚醒している間でも、意識がもうろうとしているため、自分がいる場所や時間が分からなくなる見当識障害、倦怠感や無気力といった症状が現れるほか、集中力や新しく起こったこと覚えておく記銘力が低下し、周囲に対する興味や関心も薄れます。
個人差はありますが、このような症状は数日~2週間ほど続くとおさまります。
症状が現れていない間は健康な人と変わりのない生活を送れますが、数週間から数カ月すると再び症状が現れます。
病気の経過とともに症状が現れている期間が長くなる一方で、1日あたりの睡眠時間が少し短くなったり、眠気の程度も軽減することが多いようです。
そして、このような症状が8年程度続いた後、自然におさまっていくといわれています。
クライネ・レビン症候群の特徴と原因
クライネ・レビン症候群は、思春期ころに発症することが多く、患者層の男女比は2:1と、女性よりも男性の発症例が多く報告されています。
チマタでは「眠れる森の美女症候群」と呼ばれることもあることから、女性の方が発症しやすいような印象を持たれがちですが、これはあくまでも世間的に呼ばれているだけで、実際の病態とは関係がありません。
マスコミなどで取り上げられた患者が若くて美しい女性ばかりだったことから、このような通称がついた、などといわれているようです。
クライネ・レビン症候群の発症頻度は100万人に1~2人と推定されていて、とても珍しい病気です。
また、脳の視床、視床下部、側頭葉、前頭葉などに障害をきたすことでさまざまな症状が現れているといわれていますが、詳しい病態や原因についてはっきりしたことはわかっていません。
これまでの研究で、ヨーロッパで報告されたケースのうち4割は、最初の症状がインフルエンザなどの感染症を発症した後に現れていることがわかっていて、このほかにも心身の疲労や睡眠不足、頭部外傷、麻酔などが誘因となっているのではないかといわれています。
また、免疫にかかわる遺伝子との関連が強いことから、自己免疫のしくみと関係しているのではないか、ともいわれています。
ただ、発症に関する報告件数が少なく、はっきりとした原因の特定にはより一層の研究が必要です。
また、脳血管障害や脳腫瘍など、脳の病気を発症した後に、発症することがあるともいわれています。
この場合、発症年齢は遅くなり、症状が現れる期間も長くなる傾向があります。
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