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こんな症状がある場合は睡眠時無呼吸症候群かも!?
睡眠時無呼吸症候群には、気道がふさがったり、狭くなることで起こる「閉塞タイプ」と、脳幹にある呼吸中枢の異常によって起こる「中枢タイプ」、そしてこれら両方を満たす「混合タイプ」があります。
このうち、もっとも多いのは「閉塞タイプ」です。
そこで、ここでは閉塞タイプの代表的な症状について紹介していきます(下記、カッコ内は症状の発生頻度)。
・強烈ないびきがある(93%)
・家族などから「無呼吸」を指摘される(92%)
・日中に強い眠気を感じる(83%)
・寝返りなどが多く、寝相が悪い(54%)
・熟睡感がない(51%)
・倦怠感がある(51%)
・夜中にトイレに行きたくなる回数が多い(40%)
・夜中に呼吸がしにくくなる感じや窒息感がある(38%)
・起床時に頭痛がある(35%)
・夜中に目が覚める(35%)
・集中力が低下する(28%)
・不眠(19%)
※出典:「循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン(2012 年更新版)」(http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010,momomura.h.pdf)
先ほどお話ししたように、実際にはこれらの自覚症状と、専用装置でのAHIの測定結果をもとに診断をします。
睡眠時無呼吸症候群は生命にもかかわる病気
閉塞タイプの睡眠時無呼吸症候群の原因はいくつかありますが、そのひとつに「肥満」があります。
その理由は、肥満によって首のまわりに脂肪がついていると、気道をふさいで呼吸ができなくなり、無呼吸状態を招くからです。
また、睡眠時無呼吸症候群によって熟睡できなくなると、睡眠時に分泌される成長ホルモンが足りなくなり、脂肪を分解しにくくなります。
さらに、呼吸がうまくできずに低酸素状態に陥るため、本来、睡眠時には活動がおだやかになる交感神経(活動時に働く交感神経)が活発化し、血圧の上昇や心拍数の増加が起こり、心肺機能や脳に負担がかかります。
このような状態が続くと、心筋梗塞や狭心症、脳卒中などの生命にかかわる合併症を発症するといわれています。
また、ときに自分とは関係ない人まで死に至らしめることもあります。
過去にアメリカで行われた調査によると、睡眠時無呼吸症候群の患者は、健常者に比べて交通事故の発生率がおよそ7倍も高いこと、さらに重症度が高いほど、その確率は高くなることが明らかにされました。
また、今回は呼吸器の障害という立場から説明しましたが、睡眠時無呼吸症候群は睡眠障害のひとつでもあり、『睡眠障害国際分類第2版診断とコードの手引き』にも記載されています。
睡眠時無呼吸症候群は決して見過ごすことができない病気です。
後悔しないためにも、思い当たる症状がある人は、ぜひ受診してください。
【参考】
・「循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン(2012 年更新版)」(http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010,momomura.h.pdf)
・「Ⅲ睡眠時無呼吸症候群」(http://good-sleep.gr.jp/sleep_apnea_syndrome.pdf)
・松沢呼吸器クリニック「交通事故とSAS」(http://www.matsuzawa-sas.com/sas/sas11)
・『睡眠障害国際分類第2版診断とコードの手引き』、医学書院、 2010年
<執筆者プロフィール>
伊坂 八重(いさか・やえ)
メンタルヘルスライター。
株式会社 とらうべ 社員。精神障害者の相談援助を行うための国家資格・精神保健福祉士取得。社会調査士の資格も保有しており、統計調査に関する記事も執筆
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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