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カビが原因となる病気
室内の空気中に含まれるカビを吸ったり、食べ物にできたカビを口にすることによっておこる病気を挙げます。
夏型過敏性肺臓炎
「トリコスポロン」というカビを吸い込み、肺の奥に入ることによって引き起こされるアレルギー性の肺炎。
トリコスポロンは湿度の高い場所を好むため、水回りや畳の下などで増殖していることが多い。
夏型過敏性肺炎は5~10月ころにみられやすい。乾いた咳がしつこく続き、次第に呼吸がしづらくなっていく。
放っておくと、肺腺筋症(肺が硬くなって呼吸がしにくくなる)を発症することがある。
アレルギー性鼻炎や気管支喘息
「アルテルナリア(ススカビ)」というカビが原因で、鼻水・鼻づまりや咳などの症状が起こる。アルテルナリアは黒色の綿毛のようなカビで、湿度の高い場所を好む。
さらに、野菜やくだものなどの植物にも多く、毒素を出して腐敗を進ませる。
肺アスペルギルス症
「アスペルギルス」というカビを吸い込むことによって、喘息や肺炎、副鼻腔炎などの症状が現れる。
アスペルギルス自体はありふれたカビであり、健康な人が吸い込んでも症状が出ることは少ないが、免疫力が低下していたり、喫煙習慣によって肺に傷がついている場合などに発症することがある。
また、アスペルギルスにアレルギーを持っている人もいるため、それによって症状が出ることもある。
カビ毒による内臓機能への障害
カビを含む食品を長期間摂り続けることで、肝機能障害、腎機能障害、消化系障害が出ることがある。これまで汚染が確認されたことがあるカビは、ナッツ類や穀類に含まれるアフラトキシン類、穀類や豆類に含まれるオクラトキシンA、穀類に含まれるトリコテセン系カビ毒、りんご加工品に含まれるパツリンなど。
カビ毒による影響は、急性食中毒のようにすぐに症状が現れるわけではないが、アフラトキシン類のように発がん性を持つものも確認されている。
現在では食品衛生法によって基準値が設定されているほか、一部の食品に対しては国によるアフラトキシン類の検査が義務付けられている。
ここまで屋内の空気中や食べ物に含まれるカビが取り込まれることによっておこる病気を紹介してきましたが、これらの病気を予防するためにはどのようなことに注意すればよいのでしょうか。
カビによる病気を防ぐためには
空気中には多くのカビが存在していますが、これらを吸ったからといって必ず病気になるわけではありません。
それは、ヒトの身体には免疫機能が備わっているためです。しかし、いいかえると、免疫機能が低下してしまうと今回紹介したような病気を発症する可能性があるということです。
カビは厚い膜を作って表面が覆われているため、一度感染すると薬などで治療することも難しいといわれています。
ですから、ふだんから規則正しい生活を送り、免疫力を高めておくことが重要になります。
また、室内にカビを増殖させないことも大切です。湿度の高い場所やエアコン内の掃除はしっかり行い、室内の空気を清潔に保ちましょう。
さらに、食品にカビが生えてしまった場合、目視でカビが生えている部分だけを除去しても、カビの毒素を完全に取り切れない場合もあります。必ず処分するようにしましょう。
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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