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「カルテの開示義務 浸透せず」(日本経済新聞平成27年6月23日朝刊)との報道がありました。同記事によれば、カルテの開示義務について、アンケートに答えたうちの42.2%が「知らない」と答え、93.8%が「開示を求めたことはない」とのこと。
報道のとおり、何か病気にかかったり怪我をしたとき、その病名や治療法について知りたいとは思うものの、 カルテの開示 を求めることは稀…というのが、現状のようです。
特別の理由がなくても自分の カルテの開示 を請求できる?
しかし、そもそも、特別の理由もなく カルテの開示 を求めても、医療機関はそれに応じてくれるのでしょうか?
平成15年に厚労省が定めた「診療情報の提供等に関する指針」によれば、「医療従事者等(※医師や医療機関の管理者)は、患者等が患者の診療記録の開示を求めた場合には、原則としてこれに応じなければならない。」と定めています。
また、日本医師会も、同会員に向けて同趣旨の指針を定め公表しています。これら指針の目的が「医師が診療情報を積極的に提供することにより、患者が疾病と診療の内容を十分に理解し、医療の担い手である医師と医療を受ける患者とが、共同して疾病を克服し、医師、患者間のより良い信頼関係を築くこと」と定められていることからもわかるとおり、原則として、診療内容を知りたいという患者の要望に、医療機関は応じることが求められているのです。
さらに、診療録は個人情報保護法(本記事配信現在に施行されているものを前提とします)上の個人情報であり、医療機関が扱う個人情報の数が6カ月間に5000件を超える「個人情報取扱事業者」であれば(言い換えれば「ある程度大きい病院等」であれば)、同法を根拠としても患者は カルテの開示 を請求することができます(同法25条参照)。
これらの指針や法律の存在により、医療機関はカルテの開示義務があると解されますので、医療機関側が カルテの開示 を合理的な理由なく拒む行為は、違法であるといえるでしょう。
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