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執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師)
「膠原病(こうげんびょう)」という病気をご存じでしょうか。
聞いたことがある、という方は「難しい病気」「すぐには治らない病気」というイメージをお持ちかもしれません。
しかし今日では、医学の進歩によって原因や治療法がかなり解明されてきています。
そしてそれは日常生活ともかかわりがあるようです。見ていきましょう。
膠原病とは
1942年、アメリカのポール・クレンペラーが、膠原病を「からだの2つ以上の臓器が同時に障害され、どの臓器が病変の中心であるのかを特定することができない病気」と定義しました。
自分の身体に外部から異物が入ってきたときに自己防衛するしくみを「免疫」といいます。
膠原病は、何らかの原因で自分の身体のある部分を誤って敵だと思いこんで攻撃してしまい、臓器や組織を壊してしまう病気のことをいいます。
膠原病の「膠原(こうげん)」とは、木工品などに使われる膠(にかわ)のことで、皮膚と筋肉、細胞と血管などをつなぐ膠原繊維から名付けられています。膠原病になると、全身の皮膚や血管、関節などに炎症を起こします。免疫の異常に体質や素因、環境要因が加わって発病する自己免疫性疾患だといわれています。
膠原病は、女性の患者が圧倒的に多い病気です。
とくに多いのが、20歳~50歳の年代。この年代は、女性ホルモンを分泌するのが一番盛んな年代です。
そのため、女性ホルモンが自己免疫反応を促すことと関連していると考えられています。
また、妊娠・出産とも関係があります。
妊娠中は身体に胎児がいるので、免疫の働きは抑えられるようになっています。ところが、出産すると免疫抑制が解除されることになり、反動で一気に免疫の働きが高まります。
これによって、自己免疫疾患が起こりやすくなるといわれています。
このように、女性の免疫システムが男性に比べて複雑でデリケートなことが、女性に膠原病患者が多い理由と考えられるでしょう。
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