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執筆:森 ジュンヤ(理学療法士)
普段自分では気づきにくい、歩き方のクセ。
そのひとつに「ガニ股」があります。
ガニ股は、気がつくと脚が外に開いてしまうので、外見的にも気になってしまいますが、それ以外に脚の痛みなどにつながることもあります。
今回はガニ股になる原因や対策法についてご紹介しようと思います。
どうしてガニ股になるの?
股関節が外側に回転して、開いてしまうガニ股。
ガニ股は生まれつき股関節、膝の関節、足首の関節などに異常があっておこることもありますが、多くは姿勢と深く関わりがあるといわれています。
姿勢は主観的な面も大きいため、簡単に矯正することが難しく時間もかかります。ですが、ちょっと意識するだけで改善できる場合も少なくありません。
姿勢と関わりがつよいといわれるガニ股の原因・メカニズムについてみていきます。その原因は大きくは「姿勢不良」と「足のトラブル」の2つにわけることができるのです。
姿勢不良
ガニ股は、医学的にはO脚に股関節の外旋(がいせん)という状態が加わったものと考えられています。
O脚は、脚をきちんと閉じても膝が外に開いてしまう状態です。前から(あるいは後ろから)見たとき、脚がアルファベットのOの字にみえることからO脚とよばれています。外旋というのは股関節を外側に回転させる(脚のつま先が外側を向くように動かす)動きのことです。
O脚はもともとの関節のつくりがそうなっていることもありますが、普段の姿勢から少しずつ進行していくケースが多いといわれます。左右の脚をくっつけたとき、両方の膝の間に指が3本程度入るようであれば、一般にはO脚と判断されます。
つまりガニ股は、膝が外に開いて、さらに外側に回転した状態ということです。
ガニ股と姿勢の関係ですが、姿勢がわるいときにガニ股になりやすいと指摘されます。
いわゆる猫背の状態では、座っているとき、立っているとき、背中が丸くなります。すると骨盤は後ろに倒れてしまいます。骨盤が後ろに倒れてしまうと、股関節のつくりから、外側にねじれるように開いてしまいます。
さらに、悪い姿勢が習慣になってしまうと、靭帯が緩んだり、脚の内側と外側で筋肉のつよさのバランスが崩れてしまいます。特に注目されるのが内転筋(ないてんきん)と外転筋(がいてんきん)という筋肉です。
内転筋は太ももの内側の筋肉で走るときに活躍する筋肉、股関節を内に閉じるはたらきがあります。外転筋は太ももの外側にある筋肉で、股関節を外に開くはたらきがあります。外転筋は歩くときにも活動性が高い筋肉です。
自然に座っていて脚がだんだん開いてくるのは、外転筋よりも内転筋がよわいからです。姿勢不良からくる筋肉のアンバランスの典型的なものです。
足のトラブル
もうひとつガニ股になる原因として見逃せないのが、足のトラブルです。
歩いたり走ったりするとき人の体重は、かかと → 足の裏の少し外側 → 足の親指の順番にかかります。このとき大切なはたらきをするのが「土踏まず」です。
土踏まずはアーチ状のかたちをしていて、衝撃を和らげるクッションの役割をします。ですがこのアーチが崩れていると、極端に体重が内側にかかったり、外側にかかったりします。
とくにガニ股の人は足の裏の外側に体重がかかりやすい傾向があります。
靴底の外側だけすり減るのが早いという人は体重が足の裏の外側にかかっていることを表しています。
土踏まずが崩れて足の裏全体が床につくような扁平足(へんぺいそく)、足のアーチが極端に高いハイアーチ(甲高)、外反母趾(足の親指が外側に向いている)などは、体重が不自然にかかるので、膝や股関節の姿勢にも影響を与えます。その結果、ガニ股の原因につながることになるのです。
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