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執筆:伊坂 八重(メンタルヘルスライター)
医療監修:株式会社とらうべ
「アニマルセラピー」という言葉を聞いたことはありませんか?
なんとなく「癒しを目的とした動物とのふれあい」をイメージする方も多いでしょう。実際にはどのようなことが行われているのでしょうか。
今回は、そんなアニマルセラピーについて詳しくご紹介します。
犬だけじゃない!アニマルセラピーの歴史
アニマルセラピーとは、「動物を用いた治療・療法」のことをいいます。セラピーには本来「薬物や外科的処置を必要としない治療・療法」という意味があり、アニマルセラピーも元々は治療法のひとつとして用いられていました。
治療の一環として動物が用いられてきた歴史はかなり古く、古代ローマ時代にまで遡ります。
この当時、負傷兵の機能回復を目的に馬(ホース・セラピー)が用いられていたという記録があり、これがアニマルセラピーの起源とも考えられています。
その後、19世紀ごろには乗馬が神経障害の治療に効果があると考えられ、意識的に活用されるようになりました。アニマルセラピーと聞くと、犬をイメージする方が多いかもしれませんが、犬が本格的に用いられたのは20世紀以降になります。
このほか、1970年代からは精神的な治療としてイルカによるセラピー(ドルフィン・セラピー)も行われています。
このように、犬以外にもさまざまな動物が活躍しています。ただ、トレーニングのしやすさや身体の大きさ、数などの理由から、現在では犬が用いられることが多いようです。
アニマルセラピーの種類
冒頭でお話ししたように、もともとアニマルセラピーは治療として行われていました。
ところが、近年になって動物をパートナーや仲間として認識する考え方が普及してきています。これにともなって、「アニマルセラピー」も広い意味でとらえられるようになってきました。
日本動物病院協会(JAHA)は、アニマルセラピーの活動として次の3つをあげています。
1.AAA(Animal Assisted Activity;動物介在活動)
人間と動物がふれあう活動のこと。動物とのふれあいやレクリエーション活動によって、精神的な安定を図ったり、QOL(Quality Of Life;生活の質)の向上をすることが目的。日本で一般的にイメージされるアニマルセラピーの活動。
2.AAT(Animal Assisted Therapy;動物介在療法)
医師などの医療スタッフが治療の一環として動物を介在させて行う治療(または補助治療)。精神的・身体的な機能の回復、社会的機能の向上など、患者に合わせた治療を行い、治療後は効果がどれくらい出ているかを評価する。
3.AAE(Animal Assisted Education;動物介在教育)
動物とのふれあい方や命の尊さを子どもたちに学んでもらうことを目的とした活動。たとえば、動物と一緒に小学校を訪問するといった活動があげられる。
JAHAでは、これら3つを総称して「CAPP(Companion Animal Partnership Program ;人と動物のふれあい活動)」と呼んでいます。では、アニマルセラピーにはどのような効果があるのでしょうか?
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