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口臭予防のポイント :「舌の掃除」は口臭予防に効果的!
では、なぜ口臭予防のために舌苔をキレイにすることが重要なのでしょうか。舌苔は、細菌や食べかす、はがれた粘膜などが舌の表面に付着してできた白い苔状のかたまりです。細菌は食べかすやはがれた粘膜に含まれるたんぱく質を分解して口臭(揮発性硫黄化合物)をつくります。寝ている間は唾液の分泌が減少し自浄作用が弱くなるので舌苔の付着量は朝が一番多く、寝起きの口臭が気になる原因でもあります。舌苔はうがいだけでは取れないので、歯ブラシなどで取り除く必要があります。ライオンの研究では、舌を掃除すると口臭が減少することが示されています。しかし、口臭が気になると答えた方でも、約6割の人は舌の掃除をしていないという結果が出ています。口臭が気になる人は、正しい方法で舌の掃除をすることが大切です。
<舌の清掃をしている人の割合>
※ライオン調べ、n=61、口臭が気になると回答した20~70代男女、2014年
舌の掃除のポイント
口臭が気になる人は歯磨きの後に舌の掃除も行いましょう。1日1回が目安です。ここでは舌の掃除のポイントと注意点を紹介します。
普段、歯磨きで使っている歯ブラシを使う
舌の掃除に使うブラシは、普段、歯磨きで使っている歯ブラシでいいでしょう。「やわらかめ」もしくは「ふつう」の毛の固さの歯ブラシがお勧めです。また専用の舌ブラシも市販されています。
鏡を見ながら行う
舌苔の部分に歯ブラシがきちんとあたるよう、舌の掃除は鏡を見ながら行いましょう。舌苔のついていないところは掃除をする必要はありません。
歯ブラシを動かす方向は「舌の奥から手前」
歯ブラシを舌の「奥から手前」に動かします。歯ブラシを手前から奥に動かしたり、前後に往復させたりするのはやめましょう。舌苔中の細菌をのどの方へ送り込んでしまう危険があります。
強い力で磨かない
舌は非常にデリケートな組織です。舌の粘膜や味を感じる器官である味蕾(みらい)を傷つけないよう、軽い力で行いましょう。
嘔吐反射を防ぐには舌は思いっきり前に出す
歯ブラシなどを口の奥に入れると「おえっ」となってしまう方がいらっしゃいます(嘔吐反射)。この嘔吐反射を防ぐには、舌を思いっきり前に出すのがコツです。
無理にキレイにしない
長い期間をかけてたまった舌苔は、1回の掃除ではキレイになりません。毎日掃除をすることで、だんだん落ちやすくなっていきます。舌を傷つけないためにも無理は禁物です。
口臭予防のポイント :教えてマイスター!~舌苔と味覚って関係あるの?~
舌苔が多くついていると味覚が低下する場合があります
味覚とは五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)のひとつで、口の中で食べ物の化学的特性に応じて認識される感覚です。味を感じるのは、舌の表面に多く存在する「味蕾(みらい)」という組織です。この味蕾を舌苔が覆っていると味を感じにくくなり、食べ物がおいしく食べられなくなる場合があります。舌を掃除することは口臭予防につながるだけでなく、食べ物をおいしく味わえることにもつながるのです。
■執筆者:平野 正徳(ひらの・まさのり)
<プロフィール>「オーラルケアマイスター」。ライオン株式会社に勤務し、オーラルケア関連の基礎研究ならびに開発研究に20年以上従事。
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