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「行動を理性でコントロールしている」は錯覚
人は他の動物と比べれば圧倒的に「考えて行動できる動物」です。
ですが、行動の大半は「よく考えずに行動している」ものなのです。
そして、よく考えずに行っている行動も、後付で「考えて行動した」と錯覚しています。
これは「見せかけの心的因果」と呼ばれる心理学ではよく知られた現象です。
たとえば、片付け物をしているときに懐かしい写真がたくさん出てきたとします。
どんな写真か確認しているうちにいつの間にか写真に見入って片付けがそっちのけになっていることはないでしょうか。
そして、片付かなかったことに対して、「写真は確認しておかないといけなかったから…」と自分の意志で写真を確認したかのように納得してしまいます。
つまり、私たちは「行動を意識(理性)でコントロールしている」と思っていますが、その大半は錯覚なのです。
放火とメンタルケア :0.5秒が待てれば暴力は振るわない
母親の事件は「よく考えずに行動した」ことが引き起こした事件といえるでしょう。
実は、人の中では「考えずに行動する」システムと「考えて行動するシステム」は同時並行で動くことがあります。
そして、「考えて行動するシステム」はプロセスがやや複雑なため、約0.5秒遅いことがわかっています。
たとえば、子どもの行動に「イラッと」して手が出そうになっても、0.5秒も待てば「まあ、子どもだからしかたがないか」となるわけです。
ですが、イライラがたまって疲れていると、この0.5秒が待てないこともあります。
母親による子どもの暴行のほとんどはこのような背景で起こっているようです。
母親自身の自覚や努力が足りなかったのか、母親支援が足りなかったのかはわかりませんが、痛ましく残念な出来事です。
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