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市区町村が行う胃がん検診が変わります。2015年7月30日、厚生労働省は「がん検診のあり方に関する検討会」を開き、 胃がん検診 で新たに内視鏡検査の追加を提言することを決めました。これにより、早ければ来年度から、市区町村が行う胃がん検診で、従来の胃X線検査(バリウム検査)に加え、胃内視鏡検査が選択できるようになります。
これに先立って、国立がん研究センターがん予防・検診研究センターが2014年度に発行した「有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン」ではすでに、胃内視鏡検査を検診に取り入れることを推奨していました。これを受け、一部の市区町村で胃内視鏡検査の導入が進められました。ただし、この時点ではあくまでも国立がん研究センターによる政策提言であり、厚生労働省の見解や政策を示すものではありませんでした。
今回の決定により、検診における胃内視鏡検査の有効性があらためて認められたかたちになります。ただし、検査を行う医師や医療機関の確保に課題があり、安全管理も含めた体制整備の必要が指摘されています。ここでは、胃X線検査と胃内視鏡検査の違いを確認しておきましょう。
スクリーニングとは?
痛みや違和感などの症状がない人の病気を見つけるため、まず最初に行うのがスクリーニングです。スクリーニングとは「ふるい分け」の意味で、病気が疑われる人をしぼり込む目的があります。多くの場合、迅速に行うことができ、費用負担の少ない方法が用いられます。検診で「精密検査を受けてください」といわれたことはありませんか? これは、スクリーニングによって「病気の疑いがある」と判定されたことを意味します。ただし、この時点では本当に病気かどうかは分かりません。
胃X線検査と胃内視鏡検査はともに胃がんのスクリーニングに用いられますが、大きく異なる点があります。胃X線検査が胃がんが疑われるかどうかのスクリーニングでしかないのに対し、胃内視鏡検査は精密検査を兼ねることができるからです。従来の検診の流れは、まず胃X線検査を行い、病気の疑いのある場合にさらに胃内視鏡検査で精密検査を行うというものでした。最初から胃内視鏡検査が選択できると、どのようなメリットが生まれるでしょうか?
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