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キス動画を公開する背景:「見られたい」という本能
実は、この背景には人としてのある本能が関わっています。
その本能とは自尊と賞賛の欲求、または承認欲求と呼ばれているものです。
日本では「虚栄心(きょえいしん:より良く見られたい欲求)」とも呼ばれ、あまりよいものとされません。
実は人には本能的に虚栄心が備わっています。
人はそもそも人に見てもらうことで生きる意欲を補強できる生物です。
もちろん、虚栄心が「強い」「弱い」の個性はありますが、誰もが自分の存在価値を人の反応から確認し、生きるエネルギーにしているのです。
逆に言えば、人からの賞賛や尊敬はおろか、存在の承認すらも得られない環境にいると人は生きることが辛くなります。
たとえば遺伝的には幸せを感じやすい人でも、周囲からのけ者にされる状況が続くとうつ病リスクが急拡大します。
人はまさに人と人の間を生きているのです。
本能的に必要としているものが不足すれば、それを求めるのも本能です。
「見られ足りない」と感じたら求めるものなのです。
そして、できれば賞賛されたいので自慢できるものを見せたいと願います。
ネット社会のメンタルケア …何故「キス」をみんなに見せるのか?
では、なぜ恋愛を公開するのでしょうか。実は恋愛やラブラブ感は大きな達成感を得られるだけでなく、すべてがうまくいきそうな万能感も与えてくれる劇薬です。
その喜びは人を酔わせます。
全力で酔いしれる中では、自分の恋愛を自慢したくなるのはごくごく当然の心理なのです。
こうした心理の中でキス動画を公開することになるわけです。
さらに「見られる(賞賛される)喜び」も劇薬です。
恋愛の喜び、見られる喜び…この相互作用による喜びのインフレーションが癖になると、自分の恋愛模様などプライベートを公開し続けることになるのです。
キス動画が行き過ぎかどうかはさまざまな意見があるかと思いますが、リスクがあるのは事実です。
後悔しないように、大切なプライベートは大切に扱いましょう。
<執筆者プロフィール>
杉山崇
神奈川大学人間科学部/大学院人間科学研究科 教授
心理相談センター所長・教育支援センター副所長
臨床心理士・一級キャリアコンサルティング技能士
公益社団法人日本心理学会代議員
主な著書
好評発売中『入門!産業社会心理学』(北樹出版)
2015年9月『読むだけで、人づきあいがうまくなる(仮)』(サンマーク出版)発売予定。
公式サイトはこちら⇒ http://www.sugys-lab.com/
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