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髄膜炎菌感染症 :無菌性髄膜炎
患者から採取した髄液に菌が含まれていない場合に当てはまる髄膜炎です。夏期に多く認められます。原因としてはウイルスのほか、マイコプラズマ、寄生虫などがありますが、中でもエンテロウイルス、次いでムンプスウイルスによるものが多く見られます。
ほかに、複数の菌の感染や、ポリオワクチンの接種による副作用などが原因となることもあり得ます。原因によって潜伏期間や症状に違いがありますが、年長児、成人では、発熱、頭痛、嘔吐を主症状とします。
髄膜炎菌感染症 :髄膜炎の症状と治療・予防
1〜14日の潜伏期間を経た後、頭痛、発熱、首を動かしにくくなる硬直が起こります。髄膜だけでなく全身に細菌感染が及んでいるので、急激に症状が悪化して、興奮や幻覚など、精神状態の異常が見られることもあります。
髄膜炎は、治療しなければ例外なく死に至ります。したがって、髄膜炎が疑われる場合は、できるだけ早く抗生物質と抗ウイルス剤の投薬を行います。
予防するには髄膜炎菌ワクチンを接種します。髄膜炎菌感染症患者と接触した人に対しては、予防的に抗生物質を投与することがあります。また、健常者でも保菌していることがあり、保菌者が発症しない理由はまだ解明されていませんが、海外では感染リスクが身近なところにあると考えるべきです。
厚生労働省によれば、今のところ国内からの感染報告はないとのこと。同省は国内で感染が広まる可能性は低いとしていますが、発症が疑われる場合は医療機関を受診するよう呼びかけています。前述のように、頭痛や発熱など、初期症状は風邪に似ているので、心当たりがある人は速やかに受診しましょう。
執筆:南部 洋子(看護師)
監修:岡本 良平(医学博士、東京医科歯科大学名誉教授)
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