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「自分」という作品を残すということ
「死」と正面から向き合った社会心理学の理論としてはテラー・マネジメント理論が有名です。
人は一つの生き物としてだけでなく、社会的な存在としても生きているので「自分」という作品をこの世に残すことで生物としての死の恐怖を超越できるとする理論です。
人は、芸術家や作家ならその作品で、実業家なら世の中を変えるような大事業で、そして子どもたち、孫たちの笑顔で、自分という作品を残すことができます。
人前に立つお仕事の川島さんやシーナさんは、みんなの心の中の「変わらない私」を残すことが自分という作品だったのでしょう
生物としての自分は死んでも、「みんなの中の私」は永遠に残る…そんな希望が末期がんの苦痛や絶望の中でも力や勇気を与えてくれたのではないでしょうか。
残された私たちは、末期の姿ではなく、「そのまま」、「昔のまま」の姿を時に思い浮かべることが何よりの供養になるのではないかと思います。
そして、「死」に対する勇気ある姿を見せてくださったことに感謝したい思いです。末期がんの中で「そのまま」で亡くなった人生から私たちは何を学べばよいのでしょうか。
私見ですが、私たちもいずれ人生のその時を迎えます。
その時に絶望しながら逝きたくはないですよね。できれば何かに希望を預けたい。
その何かを今から考えておきたいですね。
現代社会は生きるので精いっぱい…という難しい時代だと言われていますが、何か一つは希望を預けられるものを見つけてその時を迎えたいものです。
「これが私の人生だった…」と思える何かが、どうか見つかりますように日々とご自分を大切にしてください。
<執筆者プロフィール>
杉山 崇
神奈川大学人間科学部/大学院人間科学研究科教授。教育支援センター副所長、心理相談センター所長(15年4月から)。臨床心理士、公益社団法人日本心理学会代議員、キャリアコンサルティング技能士。
公式サイトはこちら⇒ http://www.sugys-lab.com/
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